目線を合わせて推進する
2017/09/24 00:00:01 |
ふと思った事 |
コメント:2件
新しい治療や新しい試みを広めて行こうとする時に、
私が違和感を感じていることがあります。
それは「自分が強く推進しようとすればするほど周囲が引いて行ってしまう」ということです。
出る杭は打たれるという言葉がありますが、出過ぎた杭は打たれないとでも申しましょうか。
想いが強すぎるが故に逆にその想いが伝わりづらくなるというジレンマを感じる事になってしまうようです。
糖質制限に関して言えば、糖質制限の妥当性を示すことはいくらでもできますが、
それは糖質制限を広めようという際に賢いやり方ではないと私は感じてきています。 なぜならば、患者さんやスタッフは理論がわからなくて糖質制限を行う事に不安なのではなく、
今までやっていない事を行うということ自体に「本当に大丈夫なのか?」と直観的な不安を感じている方がほとんどだと思うからです。
理論的な妥当性はともかくとして、その直観的な不安を和らげるべく、
今まで行っている食事指導とそこまで距離が離れていない半糖質制限食(主食半量、副食増量し同一カロリーに設定)に慣れていってもらう方法から始めています。
その方法でも抵抗感を訴えられる人は多いですが、一ついきなり標準的糖質制限を勧める場合に比べればうまく行っている印象を持っています。
あるいはこんな場合もそうです。
例えば新たに院内勉強会を定期的に開催する企画を立ち上げて、
自分だけではなく、皆が交代で知っている事をシェアし合える土壌を作ろうと試みても、
私が熱く語れば語る程、逆に皆が引いていってしまい、自発的に発表する人がいなくなってしまうというジレンマです。
それはどうしてなのかという事を考えてみます。
ひとつは「そんなことはたがしゅう先生にしかできないことだ」と思われてしまうことがあると思います。
実際はそんなことは決してないはずです。誰もが私が知らないことをしゃべる素質を持っています。
それなのに、私がしゃべる内容のせいなのか、私のしゃべり方がよくないのか、聞いているスタッフに「自分には無理だ」という心の壁を作らせてしまっている側面があるのかもしれません。
さりとて、強制的にしゃべらせるのは違うと思っています。こういう活動は自発的に行ってこそです。
それではどうすればスタッフの皆さんに自発的に発表者になってもらうことができるのでしょうか。
そこで私は糖質制限を広める際にあえて半糖質制限食から始めたアプローチとの共通構造を考えてみることにしました。
広まらないのは、「情報の受け手に何とも言えない不安感をもたらしてしまっているから」と考えれば、
その不安感を和らげるのにどうすればいいかという風に考えます。
そのための一つの方法は、「なるべく簡単で誰でもできそうなプレゼン」を見せることです。
いかに自分にもできそうって思ってもらえるかが大事だと思っています。
だから勉強会のテーマを「糖質制限」「湿潤療法」「コウノメソッド」とかだけではなく、もっと身近な「料理」とか「ゲーム」とか「パワースポット」とかの話をしてみるというのもよいかもしれません。
その時にスライド作成に手間がかからないように写真を多用するのも一手でしょうか。
もう一つは発表すると得だと思ってもらえる工夫をするということです。
ただこれを伝えるのは意外と難しいです。なぜならば基本的に発表による得は発表してみた人にしかわからないからです。
発表していない人からすれば、いかにわかりやすく面白いプレゼンをした所で、「あんな面白いプレゼンを準備するなんて大変だな」って思われてしまいます。
むしろ面白くすればするほどプレゼンをしてもらう領域から遠ざかっていくようなものです。
この点に関しては私は今の所いいアイデアがありません。とにかくハードルを下げに下げて、自発的に誰かが発表してくれるのを静かに待つしかないかと思っています。
とにかく相手の気持ちを想像して、
相手の目線でみて、その新しいことをどう思うであろうかを踏まえて、
足並みを合わせて推進していかなければならないように思います。
そして時々自分で振り返って考えなければならないのは、
広めようとして広まっていないけれど、そもそも広めようとする企画が企画として面白くないという根本的欠陥がある可能性も忘れてはいけません。
その土壌ではどのように工夫をした所で定期勉強会は根付かないという結論に至る可能性も考え、
ダメなら企画自体を根本的に見直す柔軟性も、
新しい事を進めようという際には大事なことだと私は思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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No title
よければお読みください。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/09/20/bis-pour-lui_a_23217324/
http://www.huffingtonpost.jp/maho-isono/body_image_b_17296472.html
Re: No title
情報頂き有難うございます。
一理ある御意見だと思います。
私達は知らず知らずのうちに常識的とされる共通価値観を植え付けられている所は確かにあると思います。
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