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神経難病を治すために非神経内科を学ぶ

category - 自分のこと
2017/ 09/ 20
                 
私は主に脳神経の病気を扱う神経内科医ですが、

標準的な治療法を学ぶことに対する興味が全体的に薄れてきています。

一方で神経難病の治療に対する興味はむしろ増してきています。

神経内科医の学会などに行けば、再生医療や遺伝子治療などの言葉が踊り、

「神経難病を克服する時代はもうそこまで来ている」などというキャッチーな台詞も目につきます。

しかし少なくとも私の目から見て今の治療の延長に未来があるとはどうしても思えないのです。
            

例えばパーキンソン病一つとって見ても、

種々の問題をすべてクリアして、仮にiPS細胞で変性したドーパミン神経が復活したとしましょう。

しかしそもそも神経が変性した原因である酸化ストレスなどの要因は放置されたままなので、またいつパーキンソン病がぶり返すともしれません。

がんの原因にアプローチせずに徒らに早期発見・早期治療に駆り立てる医療と、構造はまったく一緒だと思います。

また遺伝子治療も生物の超複雑系を甘くみていると思います。

相手はかなり予想通りに動く機械とは訳が違います。超複雑系の自然の相互作用の中で組み立てられたシステムの一部を操作すれば、

うまくいったとしてもその変化がドミノ状に他の部位にも作用し、多かれ少なかれ必ず歪みを生じます。

遺伝子を操作することによっておそらく私達はまた新たな問題と向き合わなければならなくなることは予測できることです。

私はパーキンソン病を本当に治そうとするために学ぶべきことは、従来医学の外にあるような気がしています。

例えば心理学であったり、社会学であったり、それこそ獣医学の中にもヒントはありそうです。動物にパーキンソン病は自然発生するのでしょうか。

あるいは代替医療の方がまだ可能性を感じます。

漢方や中医学以外にも音楽療法、ホメオパシー、催眠療法なども役に立つかもしれません。

共通するのは自然の持つメカニズムを利用しているということです。

自然の中で発生した問題は、自然の中で解決するのが筋であって、

自然を無視して科学的発想で操作的にパーキンソン病を克服しようとするなど、私に言わせれば愚の骨頂です。

だから私は神経難病を治せる医師になるために、

神経内科でないところでの学びを拡げようと試みています。


ただ神経内科の標準的治療学すべてを全否定するわけではありません。

例えば、脳卒中の急性期治療はここ10年余りの間に飛躍的に進歩しました。

特に脳梗塞に対する超急性期血栓溶解療法や血栓回収術が患者さんにもたらしうる恩恵は揺るぎないもので、他の代替医療が肩代わりできるものでは到底ありません。

一般に西洋医学は救命救急や脳卒中救急などの超急性期医療に対しては圧倒的に利があると思います。

だから私が標準的神経内科治療を積極的に学ぶとすれば、そのような限定的な領域に縛られていくように思いますが、

超急性期脳卒中診療に関して言えば、そこには手技的な医師の腕が求められます。

経験を積み重ねて腕を磨いた医師は私以外にたくさんいるので、そこは熟練医に任せればいいわけで、私が頑張るべきところではないように思っています。

反面、急性期から特に慢性期医療に関して言えば西洋医学はほとんど無力と言っても過言ではないと私は思っています。

パーキンソン病の症状をドーパミン製剤で取り除いてもそれは問題の先送りに過ぎず、その先に治癒というゴールは決して訪れません。

そんな西洋医学に手が出せない領域に、

糖質制限を基本に多角的なアプローチで神経難病を治癒に向かわせる医師、

そのような医師を目指して常識にとらわれずに学んでいきたいと思います。


たがしゅう

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コメント

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同感
たがしゅう先生の記事にはいつも感心します。特に今回の記事は、現役医師が現代医療を洞察した記事として、大変興味深く読ませていただきました。

>急性期から特に慢性期医療に関して言えば西洋医学はほとんど無力と言っても過言ではないと私は思っています。

私も同感です。
それは私自身が大病を経験し、現代医療の無力さを肌身で感じたからこそ同感できるのです。

しかし健康な人々にとっては、現代医学は常に進歩の一途を邁進しているような印象を抱いていると思うのです。

何故なら、世間(特にメディア)では最新医療であたかも「大病が完全に治った」かのような、側面の良い面ばかりを誇張して報道する特性があり、視聴者は鵜呑みにしてしまう傾向があります。

実際、私の親もそのような報道を「すごいね~技術はどんどん進歩して安心だね」と笑みを湛えて拝聴しています。

「治る」というインパクトが視聴者に受けるので、プラス面を誇張するという手法をよくとるのがテレビというものです。
実は、最新医療でもっても救われず亡くなっている方々のほうが更に多いという暗い事実にはほとんど触れずに。
まだまだメディアリテラシーが進んでいるとは言えません。

国の医療費も肥大化し高齢化も進むこれからの世の中、「せめてもの自分の幸せ」を本気で考えるならば、「人はなぜ病むのでしょうか?」を真剣に考えていく時期だと思います。

答えを知らない人々が多い気がします。

「運が悪くて病む」と思っている人が大多数ではないでしょうか?

だから「病んだら病院に行く」→「治ったら病院のおかげ」→「治らなかったら運が悪いか治療方法が悪い」という誤った認識が蔓延していくのです。

「自らが呼び込んでいる」事に気付く事で健康は長続きするのです。

「自らがわが身に知らずに知らずに負担をかけているから」に早く気付くべきで、そこから逃れる方法も既に存在することを全国民の腑に落とせる日がやってくれば良いですね。

その為の医師であっていただきたいです。


>漢方や中医学以外にも音楽療法、ホメオパシー、催眠療法なども役に立つかもしれません。

ところで先生、「ホオポノポノ」はご存知でしょうか?

詳細は割愛させていただきますが、心のあり方へアプローチの1つです。

病後の私にはこの方法がしっくりときました。

代替医療の1つと捉えていただき参考になれば幸いです。

長文失礼しました。

さらなるご活躍期待しています。
Re: 同感
だいきち さん

 コメント頂き有難うございます。

 考えさせられる御意見です。
 後ほど記事にさせて頂きたく存じます。

 「大病は我が身に降りかかった不幸な出来事」
 「進歩した現代医療で腕のいいお医者さんにかかれば難病に立ち向かうことができる」
 御指摘のように、この認識から脱却しない限り健康など夢のまた夢だと私も思います。

>「ホオポノポノ」はご存知でしょうか?

 初耳だったので軽く調べてみました。

(Wikipedia「ホ・オポノポノ」より一部抜粋)
ホ・オポノポノは自らの記憶に向けて、「どの記憶が問題を引き起こしているのだろうか」と問いかけた後、「ありがとう」「ごめんなさい」「許して下さい」「愛しています」の言葉を繰り返すことで実践される。


 確かにストレスマネジメントに有効そうですね。
 世界はまだまだ知らないことばかりです。是非とも勉強してみたいと思います。