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オープンスタイルの魅力
なぜ好きかと言えば、できることの応用範囲がものすごく広いということがまずあります。
例えば自分が耳鼻科医でなくとも難治性の耳鳴に対して治療の選択肢が提供できたり、
血圧が200から90mmHgまで著しい変動を示す為降圧剤が使いにくい患者さんに対して自律神経にアプローチすることで高血圧と低血圧の両方に対応できたり、
睡眠薬依存から離脱させたり、急性咽頭炎の強い喉の痛みをすぐさま取り去ったりと、漢方ならではのメリットを挙げればキリがない程です。
そんな奥深い漢方を学ぶため、漢方の勉強会に積極的に出席してみると、
これがまた講師の先生のお話が大変わかりやすく面白いものが多いのです。
私の経験上、かなりの確率で役に立つ情報や明日使える具体的な処方術を教えてもらえます。
エビデンスベースで考える医師にとってはとっつきづらい内容もあるかもしれませんが、
エビデンスにこだわらず、起こっている事実を重視する医師にとってはまさに宝の宝庫だと思います。
中には漢方の基礎が全くない人や西洋医学ベースの医師にも漢方をエビデンス的に理解してもらえるよう工夫された講演会もあります。
漢方なんてと思っている人は一度騙されたと思って、どれでもいいから漢方の勉強会に参加してみられることをおすすめします。
さて、そんな興味深い漢方の勉強会ですが、
情報が濃密過ぎて、後でじっくり頭の中を整理したいと思う事があります。
復習する時に、会で配られた紙の配布資料にある程度メモは残してあるのですが、
全てをメモし切れているわけではないですし、
講師の先生がさらっと流すように言われたためメモし切れなかった重要な文言を一言一句再確認したいという場面も時々あります。
そんな私の欲求を満たしてくれるように漢方の勉強会では講演内容を録画されているものが多く、
後でその録画DVDを希望すれば無償で提供してくれたりするのです。これは一般の製薬会社主催の勉強会ではあまりないことです。
なぜあまりないかと言えば、一般的な薬の勉強会だと、
講師の先生が情報を公開したがらず拒否されるケースが多いからです。
苦労して作り上げたデータあるいは集めた資料を誰だかわからない他者にシェアしたくないのか、どういう意図があるのかは私にはわかりません。もしかしたら利益相反の絡みもあるかもしれません。
ところが漢方の勉強会の講師の先生には、情報をシェアしてどんどん利用してほしいと考える方が多いということなのではないかと思います。
漢方薬はずっと昔からある薬なので使用に際して情報を囲い込むことのメリットは基本的にありません。
昔からある薬ですが、新しい応用的な使われ方は今でも続々と生み出されています。そうした情報は人類の共通財産だからどんどん利用してもらえばいい、
そんな風に考える先生が漢方の世界には多いのではないかと私は思います。
逆に言えば、情報を囲い込む講師の先生は、
それがどれだけ勉強になる内容を話していたとしても、あまり信用はできません。
そうした人とはあまり仲良くならず、ビジネス的な付き合いができれば十分だと私は思ってしまいます。
かたや漢方でオープンスタイルで惜しみなく情報を分け与えてくれる先生には、
人間的な魅力を私は強く感じます。
私もそういう人間でありたいと願います。
たがしゅう
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