人工甘味料ゼリー負荷試験
2017/08/18 00:00:01 |
人体実験 |
コメント:16件
人体実験、第5弾です。
巷では人工甘味料にまつわっては血糖値は上げないけれどインスリンは分泌させるということが言われています。
この話に関しては江部先生のブログでも取り上げられていますが、実際の所はどうなのでしょうか。
案ずるより産むがやすし、今回も実験してみたいと思います。
使用したのは近所のスーパーで購入したとあるゼロカロリーゼリーです。

内容量 195g/個 ×3個
原材料名 ナタデココ、エリスリトール、マンゴーピューレ、りんご果汁、パイン果汁、植物油脂利用食品(乳成分を含む)、洋酒、寒天、ゲル化剤(増粘多糖類)、酸味料、香料、甘味料(アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムK、スクラロース)、酸化防止剤(ビタミンC)、乳化剤、マリーゴールド色素、パプリカ色素
栄養成分量(推定値)100g当たり:熱量0kcal、たんぱく質0g、脂質0g、炭水化物7.3~8.1g、ナトリウム21~39㎎
もし血糖値が上がらずインスリンが出るのなら、血糖値を上げるカウンターホルモンが出ているはずなので、グルカゴンも併せて測定してみました。
結果は以下の通りです。
実測血糖(mg/dL) 実測3ヒドロキシ酪酸値(μmol/L)
食前 85 794
30分後 92 918
60分後 88 806
120分後 92 487
180分後 87 421
240分後 87 405
300分後 84 352
360分後 87 280
(血糖基準値:70~109mg/dL 3-ヒドロキシ酪酸基準値:85μmol/L以下 )
インスリン値(μU/mL) グルカゴン値(pg/mL)
食前 11.0 274
30分後 17.6 258
60分後 8.7 230
120分後 6.3 221
180分後 6.2 177
240分後 5.4 180
300分後 4.6 162
360分後 5.5 169
(インスリン基準値:1.7~10.4μU/mL グルカゴン基準値:70~174pg/mL)
確かに血糖値は上がっていません。多少の変動はありますが、誤差の範囲と言って差し支えないと思います。
一方のインスリンは少しだけ上昇しています。糖質やタンパク質負荷に比べると微々たる上昇です。
ところがケトン体はそれでもじりじりと下がり続け、その効果が6時間後も持続しています。
またカウンターホルモンの一つ、グルカゴンは上昇どころかむしろ下降しています。こちらも6時間以上その効果がダラダラと持続しています。
カウンターホルモンはグルカゴンだけではないので、もしかしたら他のカウンターシステムが機能していたのかもしれません。
またインスリンが増えると言ってもごくわずかであったが故に、血糖変動に支障をきたすほどではなかったのかもしれません。
確かに血糖値には影響を与えない人工甘味料ですが、
ケトン体やホルモン値には奇妙な影響をもたらしている事が示唆されます。
特に長時間影響が加わり続ける点が私にとっては看過できない点です。
解釈の仕方が難しい今回の実験結果ですが、
皆様の考える一助として頂ければ幸いです。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
こんにちは
かなりお腹一杯になりますよね!
それを三つも・・
お疲れさまでした^^:
ホルモンに影響を与えることも不気味ですけど
この甘味で慣れてしまう事は良くないですよね
また
わざわざ不要な添加物を摂取しなくてもいいのではないかとも
思います・・
スクラロースでは?
スクラロースはGLP-1を分泌させるという文献がありますので、グルカゴンが抑制されたのではないでしょうか?
しかし、インスリンはあまり分泌されていないのよくわかりませんが…地球上にもともとあるものではない、工業製品なので、人間の反応も未知なところがいっぱいではないでしょうか?
よろしければ、下記の文献を読んでみてください。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1986614/
Re: こんにちは
コメント頂き有難うございます。
6時間経っても影響が解除されていないのが奇妙ですよね。
不自然な甘味の利用はほどほどにしておくべきだというのはその通りだと私も思います。
Re: スクラロースでは?
コメント頂き有難うございます。
御紹介の論文、アブストラクトだけ読んでみました。
実験に使われたのはスクラロースですが、甘いと感じる物質全般にGLP-1の分泌作用がありそうですね。
「グルコースに見せかけてグルコースではない物質が体内に入ると、味覚細胞が騙されてGLP-1を分泌させるけど、本物ではないことに身体全体がすぐに気付いてインスリンはちょっとだけしか分泌されなくて済む。一方でGLP-1の影響でグルカゴンが抑制されてしまうため、そのままでは血糖が下がるところを、下がらないように他のカウンターシステムを臨時的に働かせることで何とか血糖値が下がらない状態を維持している」、そんな感じでしょうか。
そうだとすれば、身体にとっては何ともトリッキーな現象であって、いざという時のカウンターシステムに余計な負担をかけてしまっているようにも思えます。
No title
人体実験シリーズ、面白いです。
この度の人体実験も興味深かったです。
お疲れ様でした。
人工甘味料が血糖値を上げないというのは納得です。
しかし、ケトン体が下がっているのは驚きました。
調べてみないと分からないものですね。
先生の作戦シリーズも面白いです。
特に「眼鏡不使用作戦」は興味深いです。
続報を気長に待っております。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
他人の言うことを必ずしも鵜呑みにしないという姿勢は大事だと思います。
特に自分が大事にする理念の根幹に関わる部分であればなおさらです。
そういう意味では自分の軸を持つということはとても大事なことであるように私は思います。
軸がないと世の中の数多ある情報の流れに、容易に飲み込まれてしまうと思うからです。
> 「眼鏡不使用作戦」は興味深いです。
> 続報を気長に待っております。
有難うございます。
今の所、視力の悪化を防ぐ効果はありそうだけど、回復までには至らないという印象です。
もしまた面白いことがあればレポートさせて頂きます。
実験お疲れさまです
甘味料ゼリーの原材料にはナタデココがトップにあり、ゼリーを固めているのはゼラチンではなく寒天ですね。これらの食物繊維が消化吸収を遅らせ、長時間の影響に関与していることはないでしょうか?
Re: 実験お疲れさまです
コメント頂き有難うございます。
> 食物繊維が消化吸収を遅らせ、長時間の影響に関与していることはないでしょうか?
なるほど。可能性はあるかもしれませんね。
そうなると食物繊維が豊富でかつ高蛋白質の食品か何かで、血糖値やケトン体、グルカゴンの変動が360分後まで続いているかどうかを確認してみたいところです。今後の実験テーマ候補とさせて頂きます。
0 kcal
先生の基礎分泌が5~6だとすると、17.6 は微々たる上昇とは言えないような・・・ OGTT時の63.2と比較すると 17.6/63.2 * 75 で 20gのブドウ糖に匹敵する分泌。
> 血糖値は上がっていません・・・誤差の範囲・・・
7だけ上昇してます。こちらもOGTTの上昇28と比較すると 7/28 * 75 で約20gのブドウ糖に匹敵する上昇。
195g * 3 のゼリー中の炭水化物 7.3*1.95*3 = 42.7(g) が糖アルコールか何なのか知りませんが、20gのブドウ糖に相当すると考えた方がスッキリするような・・・
基本的な質問なのですが、マンゴーピューレ、りんご果汁、パイン果汁がしっかり入っているのに 0 kcal というのはどういうわけなのでしょうか?
Re: 0 kcal
コメント頂き有難うございます。
確かに「血糖値は(ほとんど)上がっていない」とは少し恣意的な解釈かもしれません。
7㎎/dLの血糖上昇ありと捉える方がより正確だろうと思います。
炭水化物42.7g中のほとんどは人口甘味料でしょうけれど、
おそらくは香りをつけるためのマンゴーやらりんごやらの少量の果汁の中に含まれる糖質がわずかに血糖値を上昇させている可能性があります。
栄養表示基準では、100g当たり熱量5kcal未満であれば0kcalとしてよいことになっているので、その範囲内で少量の糖質が混入していてもおかしくないと思います。
そして20gのブドウ糖がもたらす影響と同じかどうかと考えますと、グルカゴンの動向が矛盾します。
私の75gOGTTではグルカゴンはほとんど変動していませんが、今回の試験ではグルカゴンが6時間近く下がり続けており、これはブドウ糖負荷の時と明らかな違いがあります。やはり今回の試験は人口甘味料による影響がメインと考える方が妥当ではないかと私は思います。
想定内では?
全て糖分と考えて29.25/4=7.31g
糖尿病ではないたがしゅう先生は糖質1gで1㎎/dLの血糖値上昇と考えれば、ほぼ誤差は無いと思いますが如何でしょうか。
ですので先生にお願いですが、コーラゼロで再テストをお願いできますでしょうか?
Cゼロは100ml当り糖質0.5g以下なので、今回とほぼ同じ600ml摂取しても3.0g以下のはずです。
(※食品表示法で栄養成分表示に「糖類ゼロ」が許されるのは、100ml当り糖質0.5グラム以下であるため。)
Re: 想定内では?
コメント頂き有難うございます。
> 糖尿病ではないたがしゅう先生は糖質1gで1㎎/dLの血糖値上昇と考えれば、
しかし私の75gOGTT試験では、
75gの糖質で28mg/dLしか上昇していないので、
「1gの糖質で1mg/dLの血糖値上昇」という公式も当てはまっておりません。
私は血糖値が上がらない代わりにインスリンが非常に分泌されやすい体質と言えるのではないかと思います。
> コーラゼロで再テストをお願いできますでしょうか?
わずかな糖質混入の可能性を排除した完全人工甘味料での再検証ということですね。次回以降の実験ネタ候補とさせて頂きます。
No title
甘味料にラカントSを
砂糖のかわりに結構毎日
使用しています。
これも人工甘味料と同じとみなして
いいのでしょうか?
ほどほどの使用を推奨されますか?
それか安心していい調味料のひとつなんでしょうか?
ますます混乱してきました(笑)
Re: No title
御質問頂き有難うございます。
> 甘味料にラカントSを
> 砂糖のかわりに結構毎日
> 使用しています。
エリスリトールのことですね。
エリスリトールは人工甘味料というより天然甘味料として位置づけられる事が多いように思います。
ただエリスリトールで実験したらどうなるのかについては個人的に興味がありますね。
結構、いろいろ実験テーマがあるものですね。これも検討させて頂きます。
> ますます混乱してきました(笑)
あまり情報に惑わされず、御自身の体調をベースにされることをお勧めします。
体調さえよければ、たとえ詳細不明な未知の物質が入ってきたとしても堂々としていればいいと思います。
血糖値のMAXは
私は45分前後が真のMAXと思っていますので、もうブドウ糖の負荷試験を行うことはないと思いますが、もし再度やられる機会があれば45、75、90分の値も計測して欲しいところです。
前回の75gOGTT時と今回の比較ですが、前回はたがしゅう先生も前日に食べ過ぎたとのことでしたし、血糖値の閾値が上がっているように思います(95mg/dL前後)。
そして今回の0ゼリー時は逆に閾値が低いと思います(86mg/dL前後)。
今回は低いが為に上昇率が高ぶくれしたのではないでしょうか?
(糖質制限者が準備なくOGTTしたのに近い現象?)
Re: 血糖値のMAXは
コメント頂き有難うございます。
> 私は45分前後が真のMAXと思っています
なるほどピークの詳細については盲点でした。
15分おきの採血だと採ってもらう看護師さんにも気を遣いますし、それでもピークを逃す可能性も否定できませんので、こういう場合はフリースタイルリブレのような24時間持続疑似血糖測定器と併用してピーク値を割り出すのが確実かもしれませんね。また検討させて頂きます。
> 前回の75gOGTT時と今回の比較ですが、前回はたがしゅう先生も前日に食べ過ぎたとのことでしたし、血糖値の閾値が上がっているように思います
こちらも鋭い御指摘ですね。
確かに前日食べ過ぎた時は高蛋白質により糖新生亢進し、朝の空腹時の血糖値が高めであった可能性もありますね。
この辺は実験条件をルーズにしてしまった私の、科学者として甘い所で反省しないといけません。
再検証の方法はもう少し作戦を練りたいと思います。
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