サプリで病気の原因から目をそらさない

2017/07/31 00:00:01 | ふと思った事 | コメント:0件

サプリメントを使うか否かと問われれば、私は使う医者です。

しかしサプリメントはあくまでも対症療法の位置づけで、あくまでも根治を目指す医者です。

私が好んで用いる漢方薬もサプリメントと同じ位置付けで、もっと言えば西洋薬も同じベクトルを持つ治療手段と思います。

すなわち、根本的な問題を解決しないまま、当座の問題を何とかやりくりしようとするのがこれらの治療法の本質だということです。

ほとんど全ての病気の原因は、せんじ詰めれば自身の生活習慣と密接な関連があると私は考えています。

薬やサプリメントに頼るというのは、その自分の中に潜む病気の根本的な部分から目を背けるという事でもあると思っています。 例えば、糖質制限+サプリで治療をしていて、何かしら症状がうまく改善しない事態に遭遇した場合、

患者は「自分にはこのサプリが合っていないかもしれない」と思うかもしれないし、

あるいは医師は「十分なサプリを与えることができていないかもしれない」と考えるかもしれません。

しかし本当はそうではなくて、自分の生活習慣そのものに根本的な原因があるのかもしれないのです。

糖質制限をしていても多食してしまっているから、高インスリン血症や微小炎症を起こし、あるいはオートファジーを抑制して代謝環境を乱しているのかもしれないし、

また仕事が忙しいなどの理由で身体を酷使したり、様々な人間関係でイライラしたり不安をかき立てられたりの理由でストレスを蓄積し栄養素の吸収利用が阻害されているのかもしれません。

それを是正することが病気を治すために最も大切なことなのに、

それと正しく向き合わせなくするのがサプリや薬の功罪の「罪」の部分だと思います。

私の経験上、サプリを使っている人はサプリを使わない方向を勧めると、極端に嫌がります。「ストレス社会だからサプリは必要だ」と。

また食の害を最小限にするために少食や断食を勧めても、これも極端に嫌がります。「食べるのは生きる楽しみだから」と。

でもそれはいずれも自分がもたらしている病気の原因に対して言い訳をしてしまってはいないでしょうか

サプリが絶対に必要だというのなら、断食で体調が良くなるという現象はどう説明できるでしょうか。

断食をしてみればわかりますが、断食は完全にごまかしのきかない自分との向き合いです。

断食に失敗するのは欲望のままに自分が食べてしまうから。

体調がよくなる断食を実行できないということは、体調が悪くなる摂食という行為が過剰であるということ、

つまりは病気になるのは自分に責任があるという事実を突きつけられるのです。


病気の根本原因を放置したままサプリや薬を使っても、確かに当面の現状維持はできるのかもしれません。

しかしそのような人為的な状況は人体の絶妙な恒常性維持機構に歪みを与え続けます。

それが西洋薬であろうと漢方薬であろうとビタミンであろうと程度の差こそあれ本質は同じです。

そして病気の原因は依然として放置されたままの状況も続くのです。

それは病気を克服したことにはならないと私は思います。

歪みが顕在化する前に、きちんと自分と向き合って、

病気を治すために自分が本当に取るべき行動を取る。

私はサプリを使っても、そんな指導ができる医師でありたいと思います。


たがしゅう
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