がんに心から感謝する境地
2017/07/07 00:00:01 |
おすすめ本 |
コメント:4件
以前も書きましたが、末期がんを克服した人の体験談を、
現代医学は軽くあしらう風潮があります。そんなはずがない。うそに決まっている、と。
しかしながら、そうしたがんサバイバーの人達の言葉に実際触れてみると、普通では感じないような言葉の重みを感じます。
疑わず素直な気持ちでまずは彼ら彼女らの言葉に耳を傾けてみましょう。
今日紹介するのは、48歳の時に子宮がんが発覚し、手術できない程進行していた状態から、
一冊の本に出会ったことをきっかけにがん細胞も含めて60兆個のすべての細胞に感謝をし、10万回ありがとうという事でがんを克服したという工藤房美さんの本です。
遺伝子スイッチ・オンの奇跡 単行本 – 2015/11/2
工藤 房美 (著)
当時工藤さんはRALS(Remote After Loading System:遠隔操作密封小線源治療)という子宮内に直接放射線の発生源装置を留置する放射線治療を受け、
そのあまりの痛みに苦しみ、治療の継続に際して絶望的な心境にあった時に、
たまたま息子さんの担任の先生から贈られた「生命の暗号」という本を読み、気持ちが大きく変わったと言います。
(以下、p45-46より引用)
いちばん驚いたのは、
「人間のDNAのうち、実際に働いているのは全体のわずか5%程度で、そのほかの部分はよく分っていない。
つまりまだオフになっているDNAが多い」というところです。
これを読んだとき、それなら、わたしの眠っている残りの95%のDNAのうち、よいDNAが1%でもオンになったら、今より少し元気になるかもしれない・・・と、ふと思いついたのです。
つまり、わたしの眠っているDNAが目を覚ましてオンになったら・・・・・? と連想したのです。
・・・・・・そして次の瞬間、「ばんざーい!」と叫んでいました。
(引用、ここまで)
なかなか感性の豊かな方です。
普通の人は「ヒトのDNAの95%がオフ」という情報を得た所で、何も引っかかることはないだろうと思いますが、
工藤さんはその遺伝子をオンにすれば、諦めるのはまだ早いかもしれないとポジティブに捉え、
同じく「生命の暗号」の中の「すべての生命は70兆分の1という奇跡的な確率で生まれてきた」という文章からヒントを得て、
身体のすべてに感謝をするというアプローチを試みるに至ったのです。
これは言い換えれば、自分でエピジェネティクスを利用して病気を治そうとしている試みです。
がんサバイバーに共通する思考パターンとして、
がんというものを「やっつけるべき憎き敵」のように捉えないということがあるような気がしますが、
これはかなり大きなストレスマネジメントになっていると私は思います。
そして実際に末期がんの状態からがんの塊が見えなくなるレベルまで回復するという偉業を達成されているのです。
これを聞いても多くの医師は信用しないかもしれませんが、私はおおいにあり得ることだと思いました。
ひとつ、工藤さんが印象的なことを書かれています。
(p94-95より引用)
(前略)
健康であるとき、私たちは自分の身体に無関心です。
手足は自由に私たちの意思どおり動いてくれているのに、手足があるということさえ意識していません。
足が痛くなって初めて足の存在に関心を持ち、食べ過ぎて具合が悪くなって、初めてお腹を意識します。
そうした身体からのアピールがなければ、自分を顧みて、
「不規則な生活で抵抗力がなくなって、風邪を引いてしまった」
「考えすぎて、胃に潰瘍を作ってしまったな」
などと反省することもありません。
正常だった細胞は、ガン細胞になることで私の「思い」の癖を教えてくれました。
私の細胞はそうしてまでも私に気づいて欲しかったのでしょう。
身体からの小さなサインの数々を自分が無視し続けた結果、身体は最終手段として「ガン」という形で私に主張するしかなかったのでしょう。
私はただその小さなサインというアピールに対して、幼い子供の話を聞いてあげるように接してあげればよかったのです。
関心を持って、注意深く話を聞いてあげればよかったのです。
そして、いつも私を支えてくれていることに対して、感謝の気持ちを持っていればよかったのです。
そうできていなかったことがよく分かりました。
本当に申し訳なかったと心底そう思ったのです。
ですから、何万回「ありがとう」を言っても足りないくらいです。
(後略、引用ここまで)
工藤さんが「ありがとう」と言ってがんを治したからといって、
とってつけたように「ありがとう」と何回繰り返したところでおそらく効果はないと私は思います。
工藤さんのように心底「ありがとう」と思える境地に、自分の力で到達してはじめて、
素晴らしき「ありがとう」の力にあやかれるのではないでしょうか。
たがしゅう
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
No title
そのような体験をされた方は素晴らしいと思います。
ただ、それを体験(実現)した本人が言うのは良いのですが、そうでない第三者が言うことは、よほどの注意が必要だと思います。
どうしてかというと、先生も
>とってつけたように「ありがとう」と何回繰り返したところでおそらく効果はないと私は思います。
とおっしゃっているように、表面的に真似できることではなく、多くの人にはとても難しいことだからです。
言い換えれば、その境地に達することのできる人は人に言われなくてもできるし、逆に体験もしていない人に言われて心の底からガンに感謝するようになどなれないからです。
他人は善意で言いますが、言われた方はできない自分を責めてしまいます。
病人のなかには、そうでなくても自分を責めている人が多いと思うのです。そのような言葉を第三者から言われることは、気づきを与えられるというよりも、重い荷物を背負わされる気持ちではないでしょうか。
特に医療で治してもらいたいと願っているお医者さんに言われたら、とてもきついと思います。言っている方はそんなつもりではなくても「あなたのせいで治らない」と言われているように受け止めることもあると思います。
私が(ガンではありませんが)病気人生を歩んできた経験から書かせていただきました。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
よかれと思って言うことが逆効果となる事は診療場面でも多々あります。
糖質制限の指導が相手にストレスを与えてしまうのはその一例です。
こうしたストレスマネジメントにまつわる内容は、最終的には自分で理解してもらうより他にないと私は考えています。
2016年12月1日(木)の本ブログ記事
「『教える』のではなく『考えてもらう』」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-797.html
も御参照下さい。
病は気から
この発想は大病を経験した私に腑に落ちます
末期ガンから生還した方に共通したガンの捉え方は、ガンは外からやって来た悪ではなく、内にある善がだだをこねている状態だ
とするものです。
実際知り合いの元ガン患者の方は「がんちゃん」と名付け、魂にメッセージを届ける為に身体に宿ったと捉えたと教えてくれました
日々ひたすらに我が子に「ありがとうね、がんちゃん」と感謝の念で接し続け、治したと言います
健康な方には眉唾物に聞こえると思います
しかし、大病を経験し克服した私には、人の生きる為の真理を見事に利用した最適な治療法だと明言できます
病は気から
まさに古人から受け継がれた生きる為の真理だと思います
Re: 病は気から
コメント頂き有難うございます。
> 末期ガンから生還した方に共通したガンの捉え方は、ガンは外からやって来た悪ではなく、内にある善がだだをこねている状態だ
> とするものです。
私もそう思います。
「病は気から」の気とは、ある種ストレスマネジメントの事を指しているように私には思えるのです。
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