下痢は良いのか、悪いのか
2017/06/28 00:00:01 |
素朴な疑問 |
コメント:14件
突然ですが、読者の皆さんは下痢に感謝することはありますか?
下痢は一般的には消化器症状の一つであり、消化吸収がうまくいっていないということで嫌なものとして捉えられがちです。
また医学的にみれば水分喪失イベントとなりえ、場合によってはミネラルバランスを崩すこともあるという、いずれにしても嫌な症状と言えます。
しかし、私は時々糖質ゼロのゼリーをどか食いしてしまう時が時々あるのですが、
よくよく観察していると、そういう時私は決まって下痢をしています。
これは身体に不要な成分を取り込まないように、消化管が正しく機能している証拠ではないかと思うのです。 私がよく利用する糖質ゼロゼリーはコンビニやスーパーでよく売っている人工甘味料が入っているものです。
人工甘味料は甘いにも関わらず血糖値は上がらないという不自然な物質です。
糖質制限の理論に基づけば糖質ゼロゼリーは大丈夫と油断しがちですが、それで下痢をするということは
いかに糖質ゼロであっても身体に取り入れるべきものではないという事を身体が教えてくれているのかもしれません。
端的に言えば下痢は一種のデトックス機能亢進です。そう思うと身体に対して「下痢してくれてありがとう」という気持ちが生まれるのです。
こうした現象がもしも糖質制限について知識の乏しい初心者に起こった場合、
「糖質制限で下痢が起こった。自分には合わない食事療法だ」などと誤解されてしまう可能性があります。
また糖質制限に否定的な人がこの状況を観察すれば、
「それ見たことか。糖質制限なんかするからそんなことになるんだ」などと思われてしまうかもしれません。
いかに人が世界を見るフィルターの違いによって同じ現象を違って見るか、ということをうかがい知ることができると思います。
一方で漢方薬の中には「瀉法」といって、わざと下痢をさせる事で治療効果を得ようとする治療アプローチがあります。
一般的に漢方の世界では、消化管の働きを重要視する傾向があり、
下痢している消化管に対して人参や生姜などの生薬を用いて下痢しないように機能を整える治療アプローチもあるのですが、
瀉法の場合は、わざと下痢をさせることで痛みを取ったり、むくみを取ったりするというデトックス的な処方の業があるのです。
こうした瀉法がなぜ効果を表すのかについてまだ科学的な解明は十分になされていないと思いますが、
私のケトン代謝が活発になり不要なものを感知すると鋭敏に下痢する働きと関連させて考えると、
瀉法における漢方薬がやっている事は、何か鎮痛物質や利尿物質を補充しているわけではなく、
もともと私達の身体が持っているデトックス機能を刺激したり賦活したりさせるスイッチを押すような働きをしているのではないかという事が推測されます。
ともあれ、下痢そのもは必ずしも悪いとは限らないということです。
むしろ万病に対する腸内細菌との関わりもささやかれる昨今、
行き詰った時にあえて下痢させて不要物を排泄させるアプローチは打開策となりえると思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
初めまして
それでも効かない時は下剤の頓服を飲みます
そうしたらドッと出ます
不自然なことだけど下痢も悪くないですね
Re: 初めまして
コメント頂き有難うございます。
下痢の持つ本質的な意味合いが理解できれば、
同時に便秘という副作用をもたらす薬の別の側面も見えてくるのではないかと思います。
No title
わたしの場合は、ココナツパウダーとプレーンヨーグルトとエリスリトールを混ぜたデザート(?)を食べるとお腹がゆるくなることがあります。
また先日、サーティワンのアイスを久しぶりに食べたところ、ガスの発生など、調子が良くない感じになりました。
きっと腸が拒否しているんだろうなと思いつつ、やめられそうにありません(^_^;)
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
身体の声に真摯に耳を傾ければ、学べる事が多いですね。脳はいろいろな事に騙されますが、消化管はシンプルに事実を伝えているように思います。
下痢はいいのか、わるいのか
前は、3日に、1回とか、わりと便秘がちでした。コロコロうさぎの糞みたいな。今は、標本にしたいような便が、出るよと、娘と、自慢しあってます。下痢はここ最近ほとんどありません。先生、断食後は、どか食いしても、お腹は大丈夫なんでしょうか?今日は、断食して、17時間たっています。主人のお昼をつくり盛りつけおわり。今日はたべなくても大丈夫そうなので、このまま様子を見てみることにします。お茶は、時々のみます。一度、こんな状態の血糖値を、計ってみたいです。
Re: 下痢はいいのか、わるいのか
御質問頂き有難うございます。
> 先生、断食後は、どか食いしても、お腹は大丈夫なんでしょうか?
私の場合は断食後、ドカ食いをしたら結構な頻度で下痢します。
しかも食べて結構すぐのタイミングです。これもまた消化管に負担がかかっている事を教える身体からのサインのように思えます。
意外ですね〜 (^-^:
先生はいつも冷静沈着なイメージなんですけど
そんな時もあるんですね!(^∇^)意外です
何だか「何年もダイエットにチャレンジしては挫折している人」が言いそうな感じ?って思っちゃいました ^^
人工甘味料スイーツはそれ自体では太らなくても
やたらお腹が膨れてしまう割に満足感がないので
私は買わなくなったんですけど
スーパーやコンビニで大流行りですね^^
Re: 意外ですね〜 (^-^:
コメント頂き有難うございます。
ブログの文章ではいくらでも取り繕う事ができますが、実際はダメな所もたくさんある私です。(^^;)
ともあれ、ゼロカロリーや人工甘味料スイーツとはより適切に関わっていくようにしたいものですね。
No title
思ってもみなかったです。先生の発想は面白いです。
見方を少し変えるだけで、違った世界が見えますね。
20代の頃に、職場の人たちと行ったお店で、
生まれて初めて生牡蠣を食べ、見事に大当たりだった事を思い出しました。
嘔吐と下痢のオンパレードでした。
なかなか辛い経験でしたが、「下痢」に感謝です。
「下痢(嘔吐も)」というシステムのおかげで、
回復できたのだと思います。
人の身体のシステムは、
一体誰(?)が想像したのでしょうね。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
嘔吐にも下痢と同様のことが当てはまります。
実際、わざと吐かせる事で病気を治そうとする漢方のアプローチも存在します。
下痢をさせて治すのに比べて、ビジュアル的に問題ありだからか、あまり普及はしなかったようですが。
> 人の身体のシステムは、
> 一体誰(?)が想像したのでしょうね。
本当に人体というものは学べば学ぶほどよく出来ており、いつも驚かされます。
こうしたシステムを構築してきた自然の流れというものは見事というより他にありません。
No title
いくつかの信頼できる記事があります。
「ダイエット飲料で糖尿病リスクが高まる!? 人工甘味料の“謎”を解く」by 大西睦子医師
http://blog.drnagao.com/2014/10/post-4154.html
また、
「人工甘味料は太りやすく、インスリンを上昇させる。」by 小杉中央クリニックのサイト
http://clinic-kosugi.net/blog/index-84.html
素人の私ですが、人工甘味料入りの飲食物よりも砂糖入りを選びます。
Re: No title
> 「人工甘味料は甘いにも関わらず血糖値は上がらない」のか否かは、疑問視されているみたいです。
一番信頼できるのは自分の身体です。
これは是非次回の人体実験のテーマに取り入れさせて頂きたいと思います。
もう実験はやらないほうが・・・
人工甘味料をドカ食いしてその後の血液検査をするおつもりでしょうか?
人工甘味料は生物にとって害にはなっても益にはならないと思います。
人工甘味料だけでなく食品添加物をすべて排除することは不可能に近いですが、血糖値が上がるか否かを証明するために人工甘味料ドカ食い実験に意味はないと思います。なぜなら、人の個性(細胞とか遺伝子とか生活習慣とか)が多様なので、もし本当に検証するなら多人数長期間の実験が必要となります。
たがしゅう先生もご承知のように、人間が長期間にわたって食してきたもの(砂糖)の方が、つい最近、科学的工業的に作り出された人工甘味料よりも安全だと思います。糖分が有害なのではなく摂取量の問題だと思います。
人工甘味料入りの糖質ゼロゼリーをドカ食いするよりも、バナナやスイカをドカ食いしたほうがずっと健康的です。
たがしゅう先生を頼りにしている患者さんがたくさんおられるのですから、極端な食生活をしないで色んな食品をバランスよく食べたほうが良いと思います。
Re: もう実験はやらないほうが・・・
コメント頂き有難うございます。
何も一生その食事をするわけではなく、あくまでも単発の実験です。極端な食生活という程のことではありません。
常識を疑い、自分の目で確認することは大事です。それにこの実験結果が誰かのためになるということだってありうるのではないでしょうか。
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