絶食療法への興味
2013/11/27 00:01:00 |
ふと思った事 |
コメント:20件
糖質は必須栄養素ではないので.
いくら減らしすぎても減らしすぎることはないと考えています.
日本糖尿病学会は「極端な糖質制限は現時点では勧められない」と言いますが,
糖質だけに関して言えば,ゼロに限りなく近づけても,自分でブドウ糖を作り出せるシステム(糖新生)がきちんと働いている以上は,理論的には全く問題ありません.
その糖質の摂取量を本当にゼロにしてしまう「絶食療法」という治療法があります.
糖質制限推進派の私にとっては,本当の意味での極端な糖質制限はこの「絶食療法」です.
絶食療法は「断食」という言葉でも知られ,宗教的なイメージを持たれる方も多いですが,
糖質制限の理論を勉強すると,この絶食療法が科学的にみて非常に興味深い治療だということがわかってきます.
実際,ロシアのゴリャチンスクという地域では絶食療法を医療として提供している病院もあるそうです.
その病院によると絶食療法,断食は単なるダイエットではなく,高血圧,ざ瘡(にきび),狭心症,アレルギー,消化器疾患,うつ病など様々な疾患に治療効果があるとされてます.
一方でケトン食は疑似絶食療法と言われています.
絶食によって脂肪が分解されて産生されるケトン体を,絶食せずに産生させる方法がケトン食だからです.
ただそのケトン食も絶食で産生されるケトン体の量にはかないません.
そういう意味では,絶食はケトン体を上昇させる最強の方法とも言えます.
ケトン体には神経保護作用がありますし,様々な疾患を改善に導く多面的なメカニズムがありますので,
それだけでも絶食療法には一つメリットがあると言えるでしょう.
ただ絶食はずっと続けることはできない方法なので,その効果は一時的であり,いつまでもそのメリットを享受することはできません.
それならば絶食しなくてもケトン体が産生できて,なおかつ継続できるケトン食や糖質制限食の方に分があると思います.
しかし実は絶食療法には糖質制限食やケトン食には成し遂げられないもう一つのメリットがあります.
よく「糖質制限をすると蛋白が分解されて筋肉がやせる」という批判がありますが,
糖質を制限しても基礎インスリン作用は残りますし,基礎インスリンが作用する状況下で十分な摂食量(カロリー)があれば蛋白は分解されません.
また絶食の場合も,短期間であればまず分解されるのは脂肪の方です.脂肪が十分に蓄えられている人は蛋白の分解量は最小限に抑えられます.
あと絶食導入初期には急激なケトン体上昇が起こるために,それを身体が急に補正しきれず一過性のアシドーシスが起こる事があります.
このアシドーシスもそのまま絶食を続けることで自然に補正され,その後体調が改善に向かうことがあるようです(これを断食では「好転反応」と呼びます).
でもさらに絶食が長くなれば,流石に蛋白質が分解されてきます.通常は筋肉が分解のターゲットになるので,この場合はいよいよ筋肉がやせてくるということになると思います.
ここまでくると絶食のメリットよりもデメリットが上回ってきてしまうので,
絶食療法は適切な期間,適切な処置ができる環境で厳重な管理下で実施されるべき方法だと思います.
しかしこの絶食により「蛋白が分解される」という現象ですが,
筋肉だけではなく,同様に「体内の不要な蛋白質」も分解させることができることにつながります.
これは絶食療法でしか得られないメリットだと私は考えています.
ここから先は私の想像ですが,
身体の中に異常な蛋白がたまるproteinopathy(蛋白病)に対して絶食療法が効果がある可能性があります.
通常アミロイドなどの異常蛋白が蓄積する現象は不可逆的と考えられていますが,
絶食による蛋白分解を起こせば,そんな蓄積した異常蛋白をも分解させることもできるのではないかと思うのです(特に発症早期の場合は).
ほとんどのproteinopathyに根治療法が確立されていない中,この仮説がもし正しければ難病患者さんにも一筋の光になると思います.
現に絶食療法で難病を克服した人もおられます.
著者の森美智代さんは20代にして脊髄小脳変性症という難病を発症されていますが,繰り返し行った絶食療法で見事にこの病気を克服されています.
脊髄小脳変性症は我々神経内科の領域でよく知られた進行性の難治性疾患で,大きく遺伝性と非遺伝性のものに分かれ,細かくは様々な種類のタイプがあるのですが,遺伝性の中の9つの疾患(ポリグルタミン病)では異常蛋白が存在していることが示されています.
もしかしたら絶食により異常蛋白を分解できたことが森さんの症状を改善させたメカニズムではないかと思うのです.
さらに森さんの興味深いところは,症状が好転し始めたことを契機に,1日青汁1杯で十分活動できるエネルギーを得られるよう体質が変化したということです.
これはさらに想像の話ですが,絶食期間がある程度長くなるとある瞬間で遺伝子の発現パターンが変わるような現象が起こる可能性があるのではないかと思うのです.
とにもかくにも,絶食療法は流石に人に気軽に勧められない「極端な糖質制限」ですが,
科学的にはとても興味深いと感じています.
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
- 2023/09 (5)
- 2023/08 (9)
- 2023/07 (4)
- 2023/06 (5)
- 2023/05 (5)
- 2023/04 (7)
- 2023/03 (7)
- 2023/02 (5)
- 2023/01 (7)
- 2022/12 (5)
- 2022/11 (4)
- 2022/10 (11)
- 2022/09 (6)
- 2022/08 (6)
- 2022/07 (5)
- 2022/06 (6)
- 2022/05 (4)
- 2022/04 (5)
- 2022/03 (5)
- 2022/02 (4)
- 2022/01 (7)
- 2021/12 (14)
- 2021/11 (4)
- 2021/10 (10)
- 2021/09 (10)
- 2021/08 (8)
- 2021/07 (14)
- 2021/06 (11)
- 2021/05 (17)
- 2021/04 (9)
- 2021/03 (8)
- 2021/02 (9)
- 2021/01 (14)
- 2020/12 (9)
- 2020/11 (7)
- 2020/10 (6)
- 2020/09 (9)
- 2020/08 (11)
- 2020/07 (20)
- 2020/06 (22)
- 2020/05 (18)
- 2020/04 (22)
- 2020/03 (10)
- 2020/02 (7)
- 2020/01 (5)
- 2019/12 (9)
- 2019/11 (19)
- 2019/10 (31)
- 2019/09 (6)
- 2019/08 (7)
- 2019/07 (7)
- 2019/06 (13)
- 2019/05 (21)
- 2019/04 (9)
- 2019/03 (13)
- 2019/02 (15)
- 2019/01 (28)
- 2018/12 (9)
- 2018/11 (2)
- 2018/10 (11)
- 2018/09 (30)
- 2018/08 (31)
- 2018/07 (31)
- 2018/06 (31)
- 2018/05 (31)
- 2018/04 (30)
- 2018/03 (31)
- 2018/02 (29)
- 2018/01 (31)
- 2017/12 (31)
- 2017/11 (30)
- 2017/10 (32)
- 2017/09 (31)
- 2017/08 (31)
- 2017/07 (32)
- 2017/06 (31)
- 2017/05 (31)
- 2017/04 (31)
- 2017/03 (31)
- 2017/02 (29)
- 2017/01 (32)
- 2016/12 (31)
- 2016/11 (30)
- 2016/10 (31)
- 2016/09 (15)
- 2016/08 (11)
- 2016/07 (5)
- 2016/06 (10)
- 2016/05 (8)
- 2016/04 (5)
- 2016/03 (5)
- 2016/02 (10)
- 2016/01 (10)
- 2015/12 (7)
- 2015/11 (8)
- 2015/10 (7)
- 2015/09 (6)
- 2015/08 (6)
- 2015/07 (5)
- 2015/06 (5)
- 2015/05 (5)
- 2015/04 (3)
- 2015/03 (10)
- 2015/02 (28)
- 2015/01 (31)
- 2014/12 (31)
- 2014/11 (31)
- 2014/10 (31)
- 2014/09 (29)
- 2014/08 (53)
- 2014/07 (31)
- 2014/06 (30)
- 2014/05 (31)
- 2014/04 (30)
- 2014/03 (31)
- 2014/02 (28)
- 2014/01 (31)
- 2013/12 (32)
- 2013/11 (30)
- 2013/10 (33)
- 2013/09 (39)
カテゴリ
メールフォーム
スポンサードリンク
検索フォーム
ステップメール
リンク
QRコード

コメント
消化器?を休める
塩水だけ飲んでいました。
身長172Cmで、体重が85kgから63に、20kg減りましたが、元気にアメバイト、ビヤホールなどの立ち仕事をやり、快調でした。カタルシスさえ感じました。
今はもう、60歳を過ぎたので。ムチャは出来ませんが、人は、年に1回くらい
3日か5日間、断食すると健康に良いのかも知れませんね。
Re: 消化器?を休める
いつもコメント有難うございます。
> 学生時代に、アルバイトを12時間しながら、3週間断食したことがあるのですが・・。
> 塩水だけ飲んでいました。
> 身長172Cmで、体重が85kgから63に、20kg減りましたが、元気にアメバイト、ビヤホールなどの立ち仕事をやり、快調でした。カタルシスさえ感じました。
3週間断食はすごいですね。貴重な体験をなされていると思います。
少食や断食の有効性を説いた本も数多く出ていますが、糖質制限の理論を知りそれらを理解しやすくなりました。
単独で行うのはあまり勧められませんが、適切な管理の下では一度はやってみる価値のある方法かもしれません。
難病が治るメカニズム
カルピンチョ先生のブログから来ました。
糖質制限についてのさまざまな考察、興味深く読ませていただいています。日々の診療にも誠実に取り組んでいらっしゃる様子も伝わってきます。
今日取り上げられていた『食べることやめました』はだいぶ前に読んで驚きました。脊髄小脳変性症という難病を絶食で克服した、毎日青汁だけで生活して何の支障もない、他のものを食べると調子悪くなってしまう、など。
今日書かれていた難病が治ったメカニズムについての見解、なるほど〜、と思いました。断食で治った、メカニズムはわからない、となるとちょっと宗教がかってしまいますが、このように理解できるのですね。
テレビで彼女の状態をチェックする番組をやっていましたが、ケトン体が高いほかは何も異常はなく、腸内細菌の状態が普通の人とは違っているということでした。医師は腸内細菌がエネルギーを生み出しているのではと推測していました。
この本を読んで、健康に関して一般に言われていることが、誰にでも当てはなるわけではない、と思いました。でも、3大栄養素をバランスよく食べる、動物性脂肪は体に悪い、という刷り込みをとるのはなかなか大変ですね。
No title
私も今年の8月初頭、はじめて48時間の絶食をしてみました。
目的は総ケトン体がどこまで上げられるのか?でしたが、44時間後の結果は 8765μM/L で、ほぼ問題なく過ごせました。
尿酸値の上昇は教科書通りですね。
先生の10,000代は凄いです!
絶食の効能は「オートファジーの活性化」が寄与しているのかな?などと考えております。
細胞質内たんぱく質の分解→アミノ酸の産生→糖新生に回す という機序かな?とも考えております。血糖値が通常通り100m ちょいで、思った程下がりませんでしたので。
普段、糖質制限しておりますと苦もなく絶食出来ることが分かりました。
次回は厳冬時、72時間に挑戦したいと思っております(笑)。
そういうことだったのですか
良くなったのはよくわかったのですが、いわゆる民間療法とどう違うのかしら、と不思議だったんです。
すっきり、ていうやつですね。
オートファジーと疾患
時々この先生のブログを読ませて頂いておりますが、私にはちと難しいですぅ~。
http://syodokukai.exblog.jp/
いにしえからの知恵?
私自身は徐々に糖質を減らしていたら、いつの間にか体調が変化していたので、そのような「いきなり何かが切り替わった」ような感覚は体験していないのですが、もしかしたら、一気に糖質制限を実行した方の中には、「スイッチが切り替わったような感覚」を体験されている方もあるのではないかと思うのです(それは「ものすごく気持ちのいい」ものではないかと想像します。そんな感覚を味わったことのないことが残念です)。
断食による体調変化が、その方はよほど快調だった様で、何か機会があると私にも「断食はいいよ~、やってみない?」と、誘ってくださいます(~_~;)。(このお誘い、実質的には「あんたも正式に僧侶の修行をしてみない?」というお誘いとセットになっております。正直そこまでの踏ん切りがつかないので、ご返事は曖昧に誤魔化しておりますが)。
その方は、断食行を終えた後も、コンディションの変化は持続しているようで、断食後は普通の食生活に戻られていますが(食事の量は以前より少なくなっているように見受けられます)一気にスリムになった体型はその後も維持されているようです。
断食行の後、大体8~9割の方ははリバウンドするそうですが、逆に言うと、1~2割は「古来からの作法に則って断食を行うと、行法の後も断食によって変化した体質(おそらくはケトン代謝)が維持される」可能性があることを示唆しているのではないでしょうか。
一般に、宗教的修行法としての断食は、一種の苦行と捉えられているのではないかと思うのですが、もしかしたら、糖質が精神に与える影響が古くから体験知として認識されており、その悪影響を避ける(ついでに体調も好転する)ためのメソッドとして、長年にわたって創り上げられてきたものなのではないか、とも思えるのです。
一気に体の代謝パターンを切り替える手段として、断食はかなり有効なものではないかとも思われます。ただし、たがしゅう先生の記事やこのコメントを見て断食に関心を抱いた方があるかも知れませんが、断食には危険性がつきまとうことも知っておくべきでしょう(自己流では試みないようお願いしたいと思います)。先に触れた断食行の場合では、行の経験者を含めて数人の方が修法をサポートします。万一危険な状態が発生した場合、それを助ける必要に備えてのことです。もし一般の方が断食を実行しようとするなら、断食療法の経験が豊富な病院等でおこなわれるのがいいかと思います。
断食中に発生する危険性の一例として、水分に対する欲求が薄れることがあるそうです。そのまま適切な水分を補給せず断食を続けると、4~5日後には「お花畑の中にいる自分が見える」ようになるそうです。ベテランの修行者でも命を落とすケースがあるそうなので、十分ご注意を。
蛇足ですが。私は糖質を減らし始めてから、炊きたての白飯の香りが、以前よりきつい匂いに感じられるようになったのですが、さきの断食修行をされた方も、匂いがきつく感じられるようになったそうです。体がケトン代謝に適応した一つのサインかもしれません(糖質制限実行者の皆様、いかがでしょうか)。あ、それと。私が食事の糖質を減らしていることを話しましたら「それはいい『行』をしていますね」という返答が帰ってきました。どうやら仏道修行の観点からも、糖質制限は「望ましい修行法」とみなすことができるみたいです(^^♪。
Re: 難病が治るメカニズム
はじめまして.コメント頂き有難うございます.
> 難病が治ったメカニズムについての見解、なるほど〜、と思いました。断食で治った、メカニズムはわからない、となるとちょっと宗教がかってしまいますが、このように理解できるのですね。
あくまで仮説ですが,森さんの食生活をみているとさもありなんと思えるのです.
というのも絶食をすると症状がよくなり,食事を再開するとまた悪くなるといったふうに,明らかに食事に連動して症状が変動しているからです.
普通と違う腸内細菌が棲息できるようになったのも絶食によりこのままではマズいと感じた身体が遺伝子発現パターンを変えたせいかもしれないと想像する次第です.
当たっているかどうかは別としても,絶食で様々な病気が改善するという事実自体が非常に興味深いです.
Re: No title
いつもコメント頂き有難うございます.また絶食の体験報告も参考になります.
> 絶食の効能は「オートファジーの活性化」が寄与しているのかな?などと考えております。
> 細胞質内たんぱく質の分解→アミノ酸の産生→糖新生に回す という機序かな?とも考えております。血糖値が通常通り100m ちょいで、思った程下がりませんでしたので。
オートファジーですか.その観点は皆無でした.
おそらくまだまだ解明されていないことは山ほどあるのでしょうね.今の科学でわかることはほんの一部に過ぎないのかもしれません.
> 普段、糖質制限しておりますと苦もなく絶食出来ることが分かりました。
それは私も同感です.
糖質制限する前は絶食なんて絶対できないと思っていましたが,
糖質制限をすることで空腹感がコントロールできるようになり,ちょっと頑張れば絶食できる感じに私もなりました.
Re: そういうことだったのですか
いつもコメント頂き有難うございます.
糖質制限の理論を知るまでは,恥ずかしながら「断食は宗教的な儀式」程度の認識しかありませんでした.
本当,糖質制限の事を勉強しただけで世の中がいろいろ変わって見えてきます.
Re: オートファジーと疾患
情報を有難うございます.
> 時々この先生のブログを読ませて頂いておりますが、私にはちと難しいですぅ~。
> http://syodokukai.exblog.jp/
私にとっても難しいです(笑).
私は自分が理解した事を人にわかりやすく伝えるのは比較的得意なんですが….
Re: いにしえからの知恵?
貴重なコメントを頂き有難うございます.
> 行を始めて5日目くらいに「体のスイッチが切り替わったような感覚」を覚えたそうです。
私も絶食の勉強をして,そのスイッチが切り替わる感覚を感じたくて,3日間絶食と8日間絶食の2回の絶食療法を行いました.
しかし8日間の絶食で私はその感覚を感じることはありませんでした.
どうやらそのスイッチが切り替わるまでの期間には個人差があるようです.
> もしかしたら、糖質が精神に与える影響が古くから体験知として認識されており、その悪影響を避ける(ついでに体調も好転する)ためのメソッドとして、長年にわたって創り上げられてきたものなのではないか、とも思えるのです。
私もそう思います.
科学が発達していなくても,実際に症状が改善することはわかっていたはずです.
もしも断食でろくなことにならないのなら,後世に伝わるはずがないですからね.
> 断食には危険性がつきまとうことも知っておくべきでしょう(自己流では試みないようお願いしたいと思います)。
これもその通りです.
断食は「極端な糖質制限」,さすがに私も患者さんには基本的に勧めておりません.
やるなら適切な管理下でやるべきだと思います.
匂いに関しては,私の場合は自分の身体からなんとなくいい匂いがするようになってきたことくらいでしょうか.匂いが敏感になるということは特に感じていないです.
31日間断食の結果報告
はじめまして。いつもブログ楽しく拝見しています。私は元々現代医学では治らない病気を2つも抱えてしまったことがきっかけで何かいい方法はないだろうかと模索していました。そんな時に糖質制限のことを知りました。日本には古来から願掛けというものがあります。本当に好きなものを一つやめるかわりに病気が治ればなぁという気持ちもあり、ごはん(白米)大好きな自分は糖質を止める決意をしました。元来、意志が弱いので続かなければそれまでだとわりきっていましたが糖質制限を始めて112キロから一月で100キロになり、脂肪肝やその他数値が劇的に良くなったのでやる気になり、もっと糖質をはいじょすればどうなるのかと糖質ゼロに移行しようとしましたが、なかなかできず、そんな中、断食や森美智代さんの本に出会いました。一度、リセットすれば糖質ゼロが出来るのではないかと。そして、約三週間の水分だけの断食をしました。断食後は糖質ゼロが非常にスムーズでリバウンドはなく、体が絞れてきて症状が改善してきました。その後、糖質ゼロ+α様々な方法(ケトン食など)を模索していて、やはり断食しかないと思い、今度は、31日間、水と白湯だけの断食(本断食、絶食療法)を試みました。毎朝ケトスティックスでチェックしましたが結果は3+~4+、最終的には1+に落ち着きました。血糖値は毎朝計っていましたが、55~65の間でした。また、3週間目で大学病院でケトン体分画検査を受けた結果、3-ヒドロキシ酪酸6740・アセト酢酸1280・総ケトン体8020・因みにシスタチンCも調べてもらい、0.46でした。今、LDL-Cが300超えと尿酸値上昇(断食の影響)だけが異常値です。現在、糖質制限開始から約一年ですが、体重が54キロになってしまいました。半分以下ですね。あと、森さんの本以外に影響を受けた本として山田鷹夫さんの不食実践ノートや不食などがあります。かなり異質の本ですが、糖質制限を知らない人が食べないでもやって行けるということを実践しているのがわかり触発されました。もちろん、信じるか信じないかはあなた次第ですが、何かの参考になれば幸いです。今後も先生のご活躍を応援しております。また、ブログ楽しみにしております。長文失礼しました。http://www.amazon.co.jp/%E4%B8%8D%E9%A3%9F%E5%AE%9F%E8%B7%B5%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88%E2%80%95%E9%A3%9F%E3%81%B9%E3%81%9A%E3%81%AB%E6%9A%AE%E3%82%89%E3%81%99%E4%BA%BA%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AE%E8%A8%98%E9%8C%B2-%E5%B1%B1%E7%94%B0-%E9%B7%B9%E5%A4%AB/dp/4883203514
糖質制限に理解のある医師
先程、コメントしましたcarpediemです。先生に、少しお聞きしたいことがあります。私は今、大学病院に通院しているのですが、残念ながら私の通院している大学病院にはたがしゅう先生のような先生はいらっしゃいません。パソコンの画面ばかり見ていて患者の方を診てくれないのです。私の体重が半分になっていることにも気付いていないようなのです。複数の科にかかっているので、もう一人の主治医は私の変化に気付いてくれ、説明も丁寧なのでその点では満足しています。ただ、その先生に紹介されて受けた栄養指導で私の通う大学病院が糖質制限に全く理解のないことがわかり、がっかりしました。もちろん、もめることが目的ではなかったので糖質制限や糖質ゼロという言葉は使わずに、主食を摂っていないことを正直に話しました。そうすると栄養指導の管理栄養士から出た言葉は主食の意味わかってますか?でした。そんなやり取りなどがあり、病状や数値も改善し、落ち着いてきたので今後は、糖質制限に理解のある医師に診てもらおうと糖質制限医療推進協会のサイトにある提携医療機関を受診してみました。私は今、ケトン食や絶食などに興味があり、偶然にもたがしゅう先生がブログで取り上げて下さる内容がシンクロしていたため、親近感を覚えてしまい、糖質制限に理解のある先生方がみな、たがしゅう先生のような方だと思い込んでいましたので、つい、断食をしていることを正直に言ってしまったのです。そうすると、その先生は少し引き気味になってしまわれ、断食は勧められない、釜池先生のような修行者のような糖質制限もあまり勧められないといった感じになってしまわれました。どちらかというと緩やかな糖質制限が良いのではないかという感じでした。ケトン食の話はできませんでした。その後、別の提携医療機関を受診してみたところ、そこでは一番理想はプチ糖質制限だと言われてしまいました。私はその時は断食のことや糖質ゼロのことは伏せてスーパー糖質制限に近いと答えていたのですが、それではやりすぎだ、もう少し緩めた方が良いと言われてしまいました。もちろん、私が痩せすぎているのでそういう判断をなさったのかもしれませんが、難病を抱えている私はそれを克服するためにいろいろとチャンレンジしてみたいという気持ちもあるので少しがっかりしてしまいました。他にも提携医療機関のサイトなどを見てみたのですが、どちらかというと北里大学の山田悟先生に近い、ゆるやかな糖質制限が良いのではないかというスタンスのようでした。灰本先生に近い考え方の先生も多いような印象を受けました。私は糖質制限に関して様々なスタンスがあっても良いと思っていますし、一般の方がいきなりスーパーやゼロを実践するというのはかなりハードルが高いのはわかっているつもりです。ただたとえ建前であっても理想はスーパーであって、プチやスタンダードは社会生活を営む上で仕方ないくらいのスタンスでいてほしかったというのが本音なのです。たがしゅう先生は勉強会にも出席されているようですし、糖推協の先生方は江部先生が提唱されているようなスーパー糖質制限よりはどちらかというとマイルドな山田先生よりの方が多いのでしょうか?私は釜池先生の糖質ゼロを実践しているのですが、今後のことを考える上で少し気になっています。ただ現状が少しわかっただけでも良かったかなとは思っています。糖質を少しずつ減らすという戦略はもちろんありとだと思いますが、先生もご存じのとおり、スパッとやめた方が意外と楽だったりすることもあるのも事実です。言うなれば、バンジージャンプのようなものです。一度飛び降りてしまえば、その後は自動的にうまく行くようなイメージです。少しずつ減らして行くのには相当な意志の力が必要な気がします。ただダイエットやメタボ改善ならプチやスタンダードなど、マイルドな糖質制限でも良いのかもしれません。私は今の生活が身体に楽だから続けているのですが、傍から見るとそうは見えないのかもしれません。そこがうまく伝わらないのが少し残念です。
Re: 31日間断食の結果報告
はじめまして。
また非常に丁寧かつ詳細なコメントを頂き有難うございます。
31日間断食、すごいです。何もトラブルはありませんでしたか。
そこまで長く断食しても低血糖にはならないし、またケトン体は上がり止まるのですね。大変勉強になります。
教えて頂いた本も、是非とも手に入れて読んでみたいと思います。
Re: 糖質制限に理解のある医師
御質問頂き有難うございます。
現在、ひとくちに「糖質制限に理解のある医師」といってもいろいろなスタンスの先生がおられるということは事実だと思います。
> 私は糖質制限に関して様々なスタンスがあっても良いと思っていますし、一般の方がいきなりスーパーやゼロを実践するというのはかなりハードルが高いのはわかっているつもりです。ただたとえ建前であっても理想はスーパーであって、プチやスタンダードは社会生活を営む上で仕方ないくらいのスタンスでいてほしかったというのが本音なのです。
私は基本的にcarpediemさんと同じ考え方です。
糖質は理想はゼロがよいけれど、社会生活を営む上で折り合いをつける必要があり、その一番安定する落としどころとなる基本食が江部先生のスーパー糖質制限食であり、修正アトキンス食であると考えています。
私に言わせれば緩やかな糖質制限を勧め、強い糖質制限は勧められないという先生は、本当の意味で糖質制限の理論を理解しているとはいい難いと思います。
> 糖推協の先生方は江部先生が提唱されているようなスーパー糖質制限よりはどちらかというとマイルドな山田先生よりの方が多いのでしょうか?
残念ながらそれは私にもわかりません。交流している先生の数もしれていますし、実際にどのようなスタンスで糖質制限指導をされているのかも詳しく知っているわけではないです。
むしろ今回carpediemさんにはじめて、そのような状況があるのだと教えて頂いた次第です。「糖質制限に理解のある医師」というだけで安心するのではなく、ここでもやはり「自分で考える力」が求められるのだと思います。
No title
コメントありがとうございました。私は一患者として大学病院に通っていますが、糖質制限を表に出さなくても嫌な思いや孤独感を味わうことがあります。先生は、医師というお立場で糖質制限を前面に出して活動されています。そのご苦労は想像に難くありません。しかしながら、先生のような方が大学病院にいらっしゃるということは本当にそれを求めている患者にとってはうれしいことなのです。無責任なことは言えませんが、先生のご活躍を心より応援しております。私は糖質制限を全ての人に適用するというのは難しくてもせめて一つの選択肢としては残してほしいと思っています。今、様々な専門外来がありますが、糖質制限専門外来というものがあっても良いのではないかと思う時があります。患者の立場としては選択肢が多い方が良いような気がしています。
Re: No title
コメント返し有難うございます。
> 私は糖質制限を全ての人に適用するというのは難しくてもせめて一つの選択肢としては残してほしいと思っています。今、様々な専門外来がありますが、糖質制限専門外来というものがあっても良いのではないかと思う時があります。患者の立場としては選択肢が多い方が良いような気がしています。
ごもっともなのですが、大学病院ではそれができない複雑な事情があるのです。
いろいろなしがらみのないもっと小さな病院や診療所レベルでそうした医療が広がればいいなとは思います。
No title
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 今までの医学の常識を根底から覆す発見の嵐を見聞きして、知り得た事の喜びに浸っております。
私は医療を施す側の立場として、最初に糖質制限を知った時は歓び以上に驚きを強く感じました。
そして同時に、これは何とかしなければならないと、襟を正した次第です。
コメントの投稿