欲求を適量にコントロールする
2016/06/17 15:30:01 |
自分のこと |
コメント:4件
私はこのたがしゅうブログのことを、
自分から周りの人へ宣伝する事を基本的にはしないようにしています。
糖質制限を普及させようというのに矛盾していると思われるかもしれません。
しかしこれはある意味私の挑戦でもあるのです。
繰り返し述べている事ですが、当ブログで一番重きをおいているのは「自分で考える力」です。
私は夏井先生にその存在を教わり、江部先生からその基礎理論を学んだ糖質制限の考え方を、
自分なりに咀嚼し、さらに理論を昇華させ、日々の臨床や自らの健康管理に応用させていく試みを行っています。
その過程で考え続ける中で新たに生まれる仮説を思いつく度に、世界に向けて発信するという事がこのブログの基本骨格です。
そのように発信した仮説に妥当性があれば、自ら自分が宣伝しなくとも読者はこのブログに注目してくれるはずだと、
そういう思いで自分からは宣伝しないスタンスをとっています。
こうしたスタンスはこのブログが営利目的でないからこそとる事ができるものだと私は思っています。
これがもし会社でやっているブログで商品の販売促進のために記事を書くという事になればそういうわけにはいかないと思います。
「読んでもらっても読んでもらわなくてもどちらでも構わない」
そういう軽いスタンスで書いていて、それでも誰かが自分の記事に注目してくれるのであれば、
それは自分の書いた記事に何かしらの価値があるという事になるのではないでしょうか。
勿論、読んでもらうのともらわないのとでは、読んでもらった方が嬉しいに決まっています。
しかしここで、「読んでもらわなくても別に構わない」という気持ち、すなわち承認欲求を小さくしておく事が大事だと思います。
「自分の記事には価値がある。きっと誰かが認めてくれるはずだ!」などと強い承認欲求を持ってしまうと、
読まれなかった時に強いストレスを感じてしまいます。あるいは読まない世間に対して負の感情を抱いてしまう事にもなるかもしれません。
また仮に読まれた場合でもその時は嬉しいでしょうが、ヒトの欲求にはきりがありません。もっと認めてほしい、さらに認めて欲しいと承認欲求の塊はさらに大きくなってしまいます。
それに読む読まれないは単純に興味の問題だけではなく、タイミングや環境の問題も複雑に関わってきます。
いかに良い記事を書いていても、情報に触れるチャンスがなかったり、タイミングが悪かったりすればなかなか良さは伝わりません。
極端に言えば、インターネット使用環境にない人にはどう頑張っても伝えようがありません。
だから最近は拍手の数とかアクセス数などにはあまり左右されず、マイペースに記事を書くことができています。
先日の記事も、誰かの目に留まって少しでも役に立ってくれればとは思うわけですが、
何も変わらなければ変わらないで、それもめぐり合わせかなと、まだ時機が熟していなかったのかなと自分の心は納得します。
地動説だってコペルニクスやガリレオの死後から大分時間が経ってその妥当性が評価されたわけですから。
その時点で読まれていない事がイコール価値のない仮説というわけでは決してないのです。
それから私は仮説は誰にでも分け隔てなく公開するスタンスです。
グループの中の限られたメンバーにしか情報を公開しないというスタンスの方もおられますが、
私はそのスタンスは基本的にはとりません。限定公開にすると何らかの利害関係が生まれてしまうからです。
例えば先述のように商売が絡めば貴重な医療情報を元に利益を得ようとする意図が生まれます。
すると本来はヒトの健康を守るために提供すべきはずの情報が、いつの間にか利益を得たいという自分の都合のためにと目的がすり替わってしまう事になります。これでは本末転倒です。
利益というのは金銭的な事もそうですが、たとえ無料であっても限定公開だと情報の公開者が主導権を握る構図が生まれます。
そうすると情報の公開者に権威が生じ、人間関係に主と従のようなものが生まれ得ます。
ギブ&テイクで一見成立しているようですが、その構図が高じるといわゆる宗教じみたグループへと化してしまいます。
その事への懸念は年始に紹介したタレントの蛭子能収さんの本の中でも触れられていましたね。
ですから私は「情報は公開します。自由に利用して下さい。でも違うと思ったら自由に捨てて下さい。使うも捨てるもあなたの自由ですよ。」というスタンスでブログを運営しているわけです。
最初からそういう心づもりでいると、何を書いていても反応がどうであっても、心穏やかに淡々と自分の頭で淡々と考える作業を積み重ねていけるのです。
ここで注意すべきは利益を得ようとする事自体が悪いと言っているわけではありません。金銭活動やある程度の主従関係がないと社会生活が成立しないという事もまた事実ですから。
大事なことは、「利益を得るにしてもその大元の目的を常に忘れないようにするということ」、
承認欲求だけでなく、金銭欲求も出世欲求も大きくなりすぎないようにコントロールしていく必要があると私は考える次第です。
そういえば、それが全くコントロールできていなかった某知事がいましたね。でもあれは氷山の一角だと私は個人的には思います。
一方で、日本脂質栄養学会の良心的な運営スタンスには好感が持てて、一つの参考にはなると思います。
心穏やかに日々の生活を送る事も健康長寿の秘訣です。
自分の撒いた種で自分の心が乱れる事のないように心がけたいものです。
たがしゅう
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プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
No title
「たがしゅうブログ」の影響でブログをはじめた者として、今回の記事は特に重要なテーマでした。
私のブログは先生のものと比べるのも失礼なくらいのものですが、それでも自分なりに想いを書き続けています。そして多くのヒトに読んでもらえれば嬉しく、少なくなれば寂しく思います
時々、職場のヒトから評価されたり内容に関する質問をされたりすると嬉しくなります。自身のブログも必要とされているな・・と感じるわけです。
「たがしゅうブログ」、いつもお世話になっています。学術的な内容に加えて、物事の捉え方についても柔軟になれるようなテーマが多く読んでいて勉強になるのです
くんだみえ
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 私のブログは先生のものと比べるのも失礼なくらいのものですが、それでも自分なりに想いを書き続けています。
そんな事ございませんよ。
私にはない歯科からの視点でご自分にしか書けない価値のある文章をしっかり書かれていると思います。
ブログは継続が力になると思います。一喜一憂せずに淡々と続けるのが成長の秘訣かなと個人的には思っています。
糖質制限初心者がネットで調べると本質は一緒でもやり方が違ったり、色んな情報が出てきて、直ぐに質問したくなってしまいます。でも各先生方のブログを全部読むとなるとかなりの時間を要します。
何が言いたいのかと言うと、とある先生は質問するならコメント欄も含めて読んでから質問しろ。まさに情報の公開者に権威がある主張です。でもそれが女性であったりすると丁寧に答えていたり…あからさまです(笑)
もちろん同じことを何回も質問されると嫌になるのは分かりますが、医者であればブログでなくても毎日同じ事を聞かれると思います。 道に迷った人がもっと地形を把握、地図を見てから質問しろよと言われた気分です。
良いと思って公開しているブログなのにいつの間にか交通教本のような一方的な読み物になってしまっているのが残念です。
たがしゅう先生はこれからも同じように、初心と変わらずいてくれる事を信じています。これからも宜しくお願い致します。
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
> 質問するならコメント欄も含めて読んでから質問しろ。まさに情報の公開者に権威がある主張です。
> 道に迷った人がもっと地形を把握、地図を見てから質問しろよと言われた気分です。
なるほど、一理ありますね。
ブログの量も膨大になれば全部読んでからなんて現実的ではありませんから。
一方でブログ管理者として思うのは、
ブログというのは自分の為でもあるとはいえ、基本的にはボランティアで行っているものです。
いくら肩書きが医師であっても、ブログの場で実際の現場のような診療責任や義務が発生しようはずもなく、
誤解を恐れずに言えば、ブログをどのように扱おうと管理者の自由です。初歩的な質問に対して「自分で調べなさい」と言われても文句は言えません。
ただ私のスタンスとしては、私を信頼して私を頼ってくれた悪意のない質問に対してはできるだけ真摯に向き合いたいと思います。どのようなスタンスにするかはそれぞれのブログの管理者が考えるべき問題だと思います。
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