ウイルスは恐怖ではない
2020/02/12 17:30:00 |
ウイルス再考 |
コメント:4件
世間ではウイルスは人類の健康を脅かす恐怖の微生物だと認識されていると思いますが、
どれだけ高名な先生がウイルスの怖さを説明しようと、世界の感染症対策組織がウイルス蔓延の可能性を指摘しようと、
私は全く不安に感じておりません。どちらかと言えば、加熱するマスコミの新型ウイルス肺炎報道に不安を感じています。
私は、ウイルスとは単に「動物細胞の複製エラーの産物」だと認識しています。
そして免疫が正常に働いている限り、全く心配する必要のない対象物だとも思っています。
そうした考えは私の推奨する「事実重視型思考」によって導くことができます。
なぜ私が揺さぶられることなく冷静でいられるのかについて、本日は記事にしてみたいと思います。 まずウイルスの構成成分には「DNA」や「RNA」があります。
他にキャプシドやエンベロープなどと名前がついているものありますが要は「タンパク質」です。いずれにしても動物細胞の構成成分と共通しています。
少なくとも地球で全く見たことのない成分で出来ているわけではなく、ありふれた成分、特に動物細胞の構成成分と共通した成分でウイルスはできているのです。
また1本鎖RNAウイルスとか2本鎖DNAウイルスなどというカテゴリーもあるように、どのくらい動物細胞の構造を残しているかによって、ウイルスの呼び名が変わります。
そしてウイルスは感染相手となる宿主の中に入ると、その宿主細胞の中のDNA→RNA→タンパク質という遺伝情報からタンパク質を合成するシステムを用いて、自身のウイルスDNAもしくはRNAを増幅し子孫ウイルス粒子を増やすという特徴があります。
一方で動物の細胞もDNA→RNA→タンパク質という流れで物質を合成し、細胞を増殖するシステムを持っています。ここもウイルスのそれと共通するのですから、「ウイルスのシステムはもともと動物細胞がもつ細胞増殖システムの不完全版」だとみてここでも矛盾はないように思います。
しかし所詮は不完全な動物細胞なので、宿主にとっては異物と認識される場合がほとんどです。しかし一部のウイルス、例えばヘルペスウイルスやB型肝炎ウイルスでのキャリアのように、宿主に異物と認識されないまま過ごすこともあります。
これも宿主にとって異物と認識するかどうかの不完全具合が許容範囲であれば、宿主がウイルスを味方と判断して攻撃しなくても不思議ではないわけですし、
またそもそも敵味方を判断するための宿主の免疫システムが何らかの理由で弱まった時に、すなわち免疫抑制状態においてこうしたウイルスが再活性化して異物と認識しなおして免疫反応が惹起されることがあるという事実とも矛盾しません。
ちなみによくニュースで放射状に小さな丸い粒で囲われたウイルス粒子を示す顕微鏡写真が紹介され、「まがまがしくて怖いウイルス」だと印象づけられることがあるように思いますが、
動物細胞としての材料・部品が不完全なために細胞膜の構造を保つことができず、外部のタンパク質が物理法則に基づいて最も安定する構造をとった結果、あのような形になっているだけの話だと考えれば、その動物細胞との構造の異質性は説明できるように思います。
一方でこれだけウイルスの遺伝情報がつぶさに判明しているのも関わらず、抗ウイルス薬があまり開発されていないという事実もあります。有名どころは抗インフルエンザ薬くらいでしょうか。
抗インフルエンザ薬とはどういう薬かといいますと、ノイラミニダーゼ阻害薬といいます。
ノイラミニダーゼというのは広く生物に存在する酵素で、ノイラミン酸という物質のグリコシド結合を切断する働きを持っています。
ノイラミン酸というのは9つの炭素がある単糖であり、広く動物組織やバクテリアにも認められる物質です。要するにインフルエンザウイルスだけに存在するものではないのです。
この辺りも、「ウイルスは動物細胞の不完全体」という考えに矛盾しませんし、なぜ抗ウイルス薬が開発されないのかというのも、「生物だけにはなくてウイルスにしかない物質」というものがなかなか存在しないからだと考えれば説明がつきます。
ちなみにワクチンの方はどうかと言えば、こちらはウイルスの遺伝情報がつぶさにわかるようになったので、これと似た遺伝情報を持ち、現代の遺伝子操作の技術でウイルスと似た物質を作ってトライアンドエラーを繰り返せば、抗ウイルス薬よりは作りやすい見通しが立つのではないかと思います。
ただ麻疹とか天然痘などのワクチンがすでに開発されている一方で、エボラ出血熱とかマールブルグ熱などかなり前から重篤であることがわかっているウイルス感染症に対するワクチンがまだ出来ていないことを踏まえますと、それもそれほど簡単な作業ではないことが推察されます。
それというのも、遺伝情報がわかっていても、どこがどれだけ相違していれば安全で、逆に異物と認識され強い免疫反応が惹起されてしまうのかという法則がわかっていないからではないかと思います。
ただいずれにしても、動物細胞と類似性の少ないウイルスが異物と認識されて対して異物排除反応が惹起されるという現象は間違いないはずです。
その異物排除反応が適切に作動すればウイルスは排除されるし、適切に作動しなければウイルスは残りつづけ排除しきれずいつまででも異物排除反応が起こり続けてしまう。
その結果、肺を中心に起こっていればいつまでも治らない肺炎となるし、血液を中心に起こっていれば出血を伴う発熱へとつながってしまう、というわけです。
ということは相手が何ウイルスであろうと、自分の免疫反応がきちんと機能していればウイルスは恐るるに足らないということになりますし、
心配すべきはウイルスの種類ではなく、自分の免疫反応がきちんと働く状態にあるかどうか、という所にあるべきだと思います。
一生懸命マスクをしていたり、手洗いやうがいなどでウイルス排除にいそしむ暇があったら、食事やストレスについて見直して身体の代謝を乱す要因を排除する方がよほどウイルス感染症対策になるはずです。
報道にあおられて「恐怖のウイルス」という認識を持つこと自体が慢性持続性ストレスを与え、身体の代謝を乱し免疫反応を誤作動させることへとつながります。
何週間も隔離させられるとか、死者が何人に増えたなどの情報は、こうした予備知識を持たない人達の不安をただただあおり、ストレスを与えることによって余計に感染に対処できない状況を作っているとも言えます。
加熱報道によって情報拡散させられたウイルス感染症は「人災」の部分が大きいと私は考えます。このように報道などで過度に不安があおられることがなされていなければただの風邪で済んでいた人がどれほどいたことだろうかと察します。
そして報道により不安を感じるかどうかを決めるのは自分自身です。
こうした病気につながってしまう情報から身を守るためには、権威的なものに頼らずに自分の頭で考え続けることが何より大事だと私は思います。
一刻も早くウイルス感染症の過剰報道がなくなることを祈るばかりです。
たがしゅう
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プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
> 「あなたは感染しても症状が無いか、軽いものかもしれない。けれど感染すると重症化しやすい人の為には、感染者は隔離すべし。インフルエンザも、ワクチン未接種者が感染して重症となり多くの人に感染させてしまう可能性がある。ワクチン未接種者はわがままだ。」と。
いかにも病気の原因を外に考えているということがうかがえる発言です。
ワクチン未接種者が無症状キャリア状態で免疫不全者にウイルスを無自覚に感染させてしまったとして、それがそのワクチン未接種者のせいだと証明できるでしょうか。ウイルスは必ずしもその人経由で移ったとは限りません。経路は無数に存在しているはずです。
まるでハウスダストアレルギーの人が、「あなたがほこりまみれのせいでアレルギーが重症化しやすい人は重症となり、多くのアレルギー患者を苦しめてしまう。あなたはほこりを常にはらっておくべきだ」と目に見えないほこりの存在に対して目くじらを立てられているようなものだと思います。
こうして考えると、問題の本質はウイルスから隔離うんぬんではなく、ウイルスであろうとハウスダストであろうと正常な免疫反応を起こせなくなった宿主側にあるのではないかという構造が見えてきます。だから「マスクよりも糖質制限!」なのです。
コロナウイルスとインフルエンザ
コロナウイルスは普通の風邪と同レベルではないのですか?
アメリカではインフルエンザで12000人が死亡しているようです。こちらの方が恐ろしいと私はずっと思っているのですが、先生はどう思われますか?
Re: コロナウイルスとインフルエンザ
御質問頂き有難うございます。
> コロナウイルスは普通の風邪と同レベルではないのですか?
いろいろ言われてはいますが、はっきりとした事がわからないというのが実情です。
ただ私はウイルスの性質よりも宿主の免疫状態の方が決定的因子になると考えています。免疫不全者にとってはコロナウイルスもインフルエンザも同様に脅威ですが、免疫が正常に保たれていればどちらも良好に免疫反応によって排除する事ができると思います。
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