西洋医学中心医療の特徴を知る
2018/08/17 00:00:01 |
素朴な疑問 |
コメント:4件
先日述べた「西洋医学中心医療からの脱却」について、もう少し考察を深めます。
まず私は今までの病院医療が全て無意味だと言っているわけではありません。
西洋医学による医療の活躍の場は確かにあります。救命救急医療がその最たるものです。
急場をとりあえず凌ぐという点において西洋医学による医療ほど即効性かつ確実性のあるアプローチはありません。脳卒中や心筋梗塞に対して漢方やホメオパシーなどで立ち向かう愚かさといったらありません。
ところが急性期から慢性期まで「その場をしのぎ続ける」のが西洋医学による医療の特徴であり、根本解決に導けないというのが最大の欠点です。
その欠点を見過ごしたまま、全てのステージの医療に西洋医学による医療を適用してしまっているのが現代医療の最大の過ちだと私は考えています。 その場をしのぎ続けているからこそ、いつまで経っても治らないし、一度出した血圧の薬が基本的にやめられなくなってしまうのです。
しかも頼みの食事と運動による治療も、それを非常にしづらい高度な社会環境が出来上がってしまいました。
食事制限をしようにもコンビニや24時間営業のスーパー、外食店が所狭しと乱立しており、食欲がかきたてられ続けますし、
糖質制限をしようにも甘い香りや安い価格、様々な角度から糖質を摂取するよう誘惑され続けます。
運動も楽をしようと思えばいくらでも楽をできる生活環境が整いました。車や公共交通機関、全く利用せずに生活している人は全国にどれだけいるでしょうか。
楽な環境が与えられたら人間はそれに抗うのは難しい生き物です。抗うには何らかの人為を加える必要がありますが、それができるのはほんの一握りでしょう。
ましてや食事といえばカロリーという誤った概念が文化レベルで人々の価値観が形成されてしまっています。
かくして自己治癒力回復の頼りである食事と運動療法が実質的に機能せず、その場をしのぎ続ける西洋医学による医療で病気の根本原因となるものが蓄積され続け、
今の一生病院へ通い続ける医療が当たり前のように展開されてしまっているように私は思います。
さて、もう一つ西洋医学中心医療の大きな特徴ですが、
「必ずしも自覚症状に対して治療アプローチをしない」ということです。
具体的に言えば、自覚症状はないけど血圧を下げるために薬を飲んで飲むとか、自覚症状はないけどコレステロールが高いからスタチンを飲むといった治療アプローチです。
そんなアプローチができるのは西洋医学だけです。何故ならば血圧を測定したり、血液検査を実施したりしない限り、その問題点には気づきようがないからです。
しかしそもそも自覚症状がないのに治療を行う必要があるのかという疑問がありますが、
そこに対して西洋医学は血圧が高いと脳卒中になりやすいとか、コレステロールが高いと心筋梗塞になりやすいというデータを提示してその治療アプローチが妥当だと私達に迫ります。
人類の歴史の中で確固たる信頼性を獲得した「科学的」という殺し文句によって、私達は自覚症状の介在しない脅威を受け入れそれに対処できる治療アプローチを行い続けました。
そして私達は自覚症状よりもデータの異常を心配することが常態となってきてしまいました。
しかしその結果見えてきたのが、死ぬまで西洋薬を飲み続け、徐々に弱ってある日急に体調を崩したりする患者さん達の姿です。
考えて見れば東洋医学もホメオパシーもアーユルヴェーダも、自覚症状から始まる医療です。
未病という概念こそあれど、薬を使う時は基本的に何らかの自覚症状を有する時です。
古代の医学は自覚症状に病気の存在を感じ、何らかの薬や治療アプローチを試み、そして病気を克服させるという構造でした。
自覚症状がないのに薬を治療目的で投与する場面はなかったでしょうし、間違っても一生薬を飲み続けることが前提の治療などなかったはずです。
自覚症状がない段階で治療アプローチして、良い成果がえられているのなら私も何も言うことはありません。
しかし実際は脳卒中、心筋梗塞が予防できているとはとても言えない状況です。両者はがんに続いて死因の第2位と第3位の地位を盤石なものとしているのは周知の事実だと思います。
西洋医学の力を借りて急場はしのぐけれど、
その後は自覚症状を重視して自分が自分の健康を守れるようその場しのぎ以外の治療を選択していく。
その基本が糖質制限+ストレスマネジメントですが、
自己治癒力が過剰適応や消耗疲弊し自覚症状という形で表出しセルフコントロールできない場合に、
その場しのぎではない自己治癒力サポートができる漢方薬やホメオパシーといった治療アプローチを利用するという、
それが私が考える西洋医学中心医療からの脱却です。
そうすれば西洋医学による医療に携わる医師の労働負担も軽減できるのではないかと私は考える次第です。
たがしゅう
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プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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No title
まさに私がスタチンを処方した医師に聞いたこと、
自覚症状もないのに薬を飲むんですか??
医師の返答は、将来の為です。
次回の診察の時にはスタチンは飲んでいませんと伝えるつもりです。ちょっと勇気がいりますが。
糖質制限もいままでいい加減でしたが、しっかり取り組んでいきます。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 私がスタチンを処方した医師に聞いたこと、
> 自覚症状もないのに薬を飲むんですか??
> 医師の返答は、将来の為です。
それが科学に支配された現代医療の多くの実情だろうと思います。
「科学的根拠」を水戸黄門の印籠のごとく振りかざし、相手の主体性を踏みにじる構造となっています。
それに対して自覚症状のない状態への投薬について患者の解釈を確認し、それを支持したり、必要に応じて助言したりするのが主体的医療の構造です。科学的根拠も使いますが、絶対に押し付けないのが原則です。医師からすれば押し付ける受動的医療の方がそれは楽だと思います。
No title
>自覚症状よりもデータの異常を心配することが常態
>小さな我慢の蓄積が企業や医療をブラック化している
先生のご意見、シンプルに核心をついてると思います。
「なんか違う、でも流れに従っておこう。」
この様な主体性の無さが、間違った流れを生むのですね。
主体性を持つことの重要性をひしひしと感じます。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
「何か違う」という違和感をスルーせずに、それを生み出す根源へいかに主体的に向き合えるかが大事なことと思います。
2016年12月20日(火)の本ブログ記事
「ちょっとした違和感に気付く」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-816.html
も御参照下さい。
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