このままでは理想に程遠い
2018/05/16 00:00:01 |
主体的医療 |
コメント:6件
私は糖質制限をベースに医療の在り方を、
今までのお医者様お任せの「受動的医療」から、
患者自らが自分の頭で考えて行動し、医療者がそれをサポートする「主体的医療」へと変革していくことを望んでいますが、
現時点での医療機関の体制では、その実践は極めて困難だと考えざるを得ません。
例えばある時私の病院に、「受動的医療」のスタイルにどっぷりつかった患者さんが来て、
血圧を下げたいので何とかしてほしいという要望で私の所へやってきたとします。 「主体的医療」を目指すなら、糖質制限というツールの存在を伝え、
患者自らに自分の^_^代謝を整えていく行動をとってもらうことで血圧の正常化を目指してもらうというのが本筋であるはずです。
ところが、相手は「受動的医療」の文化の中で生きる患者、
はなから「降圧剤」を処方してもらうことを期待している場合には、下手に糖質制限指導をすれば
「俺は知らん。自分で治せ」といったむしろ突き放されるような印象さえ与えかねない気がします。
そうは思われないために、一生懸命時間をとって説得しようにも今度は保険診療の壁が出てきます。
時間をかけて説明してわかってもらえる保証はどこにもないし、時間をかけてわかってもらえたとしても、その結果薬を出さなくて済むようになり、
長い時間をかけた割に医療保険のルールに則った病院としては収益が得られなくなるというジレンマを抱えてしまうことになります。
だから少なくとも現時点では、そういう患者さんに出会ったら、
希望の薬を処方しながらも、出来るだけ糖質を控えめにした方がよいと伝えるのが関の山です。
このままでは私が目指す「主体的医療」の普及は、構造上不可能ということになると思います。
となれば、既存の医療体制とは異なるシステム、「主体的」に動き始めた人から得をしていくシステム、
それでも経営として成立する新しいシステムを構築していくより他に道はないと私は考えています。
そのためにクリアしなければならない課題はいくつもあります。
少なくとも今はまだ違和感を抱えつつも、その環境で最善と考えられる指導を続けていくより他にありませんが、
同時に課題を明確にし、克服するための戦略を考え続けていきたいと私は思っています。
たがしゅう
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プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
理想と現実
糖質制限とストレスマネージメントを柱に据えた、たがしゅうさんの目指される医療は、まさに理想的な医療だと思いますが、実際の医療は「理想」とは別の回転軸で回っているところに根本的な問題があるのだと思います。
糖質だらけの商品を売っている一般のスーパーで、糖質制限の商品を売っても、やはりどこか説得力に欠けますね。
理想の看板を掲げたお店に、それに賛同する人たちがやってきて、みんなが笑顔で帰って行く。そんなお店が増えるのを、生きているうちに見られれば、と願っています。
Re: 理想と現実
コメント頂き有難うございます。
私も自分が生きている間に、せめて新しい医療への導入部分だけでも構築できればと思っています。
その流れを後世に引き継いでいくことができれば、最期の時間が来たとしても本望であろうと思います。
No title
現主治医は笑いながら教えてくれました。
「自分は薬ををあまり出さないから製薬会社が営業に来ないんだよ」と。確かにお金の臭いのしない先生です。
先生の目指す医療はきっと実現するはずです。時間はかかるかもしれませんが、とても自然な考え方だから。
それには私達受診する側の意識も変わる必要がありますね。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 私達受診する側の意識も変わる必要がありますね。
そうですね。
是非とも主体的治療に取り組む人の支えになる医療機関を作りたいと思います。
No title
「受動的医療」という、1つの選択肢しか知らない患者さんに、
「主体的医療」という、別の選択肢があるという事を
知ってもらう事からのスタートですね。
患者側は、「知る努力」、
医療機関側は、「知ってもらう工夫」が、
大切だと思います。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 患者側は、「知る努力」、
> 医療機関側は、「知ってもらう工夫」が、
> 大切だと思います。
本当そうですね。
「主体的治療」の良さが広まっていけば、医療自体も次第に好転していくのではないかと思います。
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