向精神薬は患者を救っていない

2018/05/08 00:00:01 | 素朴な疑問 | コメント:2件

小保方晴子日記から学んだ話を続けます。

この日記で医師目線で気付くもう一つのポイントは、

精神科での向精神薬使用の実録日記でもあるということです。

ただでさえ苦しい精神状況に追い込まれているというのに、そこにさらに薬の副作用にもさいなまれていく小保方さんの様子が克明に記されています。

これを読んでいると結局精神医療がもたらしたのは何だったのだろうかと考えさせられます。

逃げ場のない小保方さんの受け皿となってくれて安心感を与えたことは確かだと思いますが、その提供される精神医療によって彼女が回復への道へ進むことができたかに関しては甚だ疑問です。 本日は小保方晴子日記の中から、小保方さんが薬によって苦しめられたと考えられる記述について触れて、

できる範囲で精神医療の本質部分に踏み込んでみたいと思います。


(p56より引用)

(2015年)4月20日(月)

新しいくすりを飲むと思考回路が強制終了される感じ。

嫌なことを考えなくなって楽になる。でも別回線が勝手に形成されている感じもある。

食欲が止まらない。異常に喉が渇く。体も動かない。すごい疲労感。寝てばかり。これが薬の副作用?

(引用、ここまで)



(p84より引用)

(2015年)6月8日(月)

「退院の時に持って帰る薬はどれがいい?」とサブ主治医から聞かれた。

手土産でも選ぶみたいな聞き方だった。

入院した直後に、「合う薬を探しましょう」と言われてから、ほぼ3日ごとに違う薬を試した。

結局、合うと感じる薬は見つからないまま、退院の日だけが決まった。

今の私は薬がないと耐えられない。

でも、この苦しみが楽になるとか、いつか以前のように頭が働く日が来るとか、ましてや元気になるなんていう希望は、もう持つことはできない。どの薬も副作用が強すぎる。

強弱の組み合わせは異なるけれど、気分が悪くなり、身体がむくみ、ひたすら喉が渇き、頭が働かなくなる、この4点はどの薬も共通している

思考力が低下して自分の意思を失っても、食べて飲んで昏睡していることが医者の考える元気に近い状態なのか、といつも疑問に思ってしまう。

何もしなくてもいい状況ならそれでいいのかもしれないけど、私はそうじゃない。

脳が動かない。動く時は間違った方向に動く。心の重さが取れなくても、頭はもう少し正常に働いてほしい。

そうじゃないと、このままでは、今迫られている博士論文の修正作業に対処できる気がしない。やるからには、できる限り頑張りたい。

それにしても、睡眠薬が効かなかった時に、追加で飲んでいいことになっている頓服薬があまりに効かない。

ネットで調べたら、不眠にはほとんど効果がないようだった。

(引用、ここまで)


私もうつ病になった時期があり、抗うつ薬を飲んでいた経験があるのでわかりますが、

抗うつ薬でもたらされるのは、うつがよくなるというよりもぼ~っとした感じになるという状態で、

今にして思えばきわめて人為的で不自然な精神状態だったと振り返ります。

小保方さんが飲んだ薬がどういうものであったかはわかりませんが、西洋医学での向精神薬は多かれ少なかれ神経伝達物質を人為的に操作する類の薬です。

例えばセロトニンが強制的に賦活された所で、ぼ~っとしながら活動することができても、

それが本人の心の在り方に安寧をもたらすわけでは決してないのです。

また何も考えずにただ休んでいれば時間が解決するような状況であればまだしも、

小保方さんのように博士論文修正などの作業を強いられているような環境では有害無益であると私は思います。

事実小保方さんはあらゆる種類の向精神薬を試されたようですが、彼女が望んでいる改善効果は何一つ得られていませんし、

それどころか薬の効果そのものに疑問を感じ続けているような状況です。

その後読み進めていくと、様々な人達のサポートも得ながら、最終的に断薬を決心され、その過程でいかに苦しんでいたかということも、

2016年9月からの「断薬」の章で詳細に記されています。

結局小保方さんを苦境から立ち上がらせたのは、決して精神科の薬ではなく、

小保方さん自身の生き続けるいう決意、そして周囲の方々の身体的・心理的サポートであったのではないかと私は考える次第です。


ところで極度のストレスがありかつ向精神薬も大量に入っていて正常な思考状態でなかったはずなのに、

どうして日記にここまで詳細な心理状態を残すことができたのであろうか、という疑問が出てくるかもしれません。

この疑問について考える上で一つ参考になる一節があります。

(p158より引用)

(2015年)11月20日(金)

(中略)

正常な時の自分は、会話の中でどの発言が重要かとか、

相手の真意はどこにあるのかとか、自然と情報を取捨選択する。

私は人の発言をほぼすべて記憶してしまうので、自分でも気が付かないうちに、そのことに注力しながら生きてきたみたいだ。

でも最近の頭の回らない私は、耳にしたことを理解するだけで精一杯。

情報処理が追いつかなくて、一人パニックになってしまっている。

(引用、ここまで)



つまり、小保方さんがここまで詳細に当時の記憶を回顧することができたのは、

彼女が並外れた記憶力を持つスーパーレコグナイザーであったからという可能性が高いと私は考えます。

もしかしたらうつ状態の真っ只中の時の日記は数行だけだったとしても、

後から記憶を呼び覚まして当時の心理状況を追記し、整理したという可能性もあるように思います。

その辺りは小保方さん御本人に聞かないと何とも言えず、あくまでも私の憶測ということになってしまいますが、

いずれにしても類まれな記憶力で書き記された貴重な記録には違いないように思います。

この記録から私達医療者は学ばなければなりません。

向精神薬というものが何一つ患者を救っていないという事実を。

一時的に利用するというアプローチであればまだしも、漫然と向精神薬をとっかえひっかえ投与し続ける治療に未来はありません。

そして精神症状に悩む患者を救うために大切な事は、やはりなんといっても本人のストレスマネジメントであり、

それを栄養、生活環境、コミュニケーションなどで本人が立ち直るためのサポートを提供し続ける事ではないかと私は考える次第です。


たがしゅう
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コメント

No title

2018/05/16(水) 15:46:05 | URL | #-

Re: No title

2018/05/16(水) 16:42:58 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
> いかがでしょう
> https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180516-00025103-president-soci


 統計学を巧みに利用して糖質制限を批判する人と同じ匂いがします。
 最初から「小保方さんが悪い」という事を前提で考察し、それを大衆へ納得させるためのデータを無理矢理作り上げたような印象です。

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