なければないで何とかなる
2018/01/12 00:00:01 |
お勉強 |
コメント:2件
昨日紹介した日経ビジネスの「家族」特集において、
「家族」を作ることに消極的な現代社会の問題について、動物社会からヒントを得て「共同体感覚」を得ることの重要性について触れました。
その際、現実問題として立ちはだかる「家族を作ろうとする際のコスト面でのリスク」について、
考える上で参考になる「15人家族の物語」という記事が同特集にありましたので、
続いて紹介させて頂きたいと思います。
(以下、引用)
木枯らしが吹き始めた11月初めのある日、鹿児島県奄美市在住のタクシー運転手で、
「徳さん」と呼ばれている男(65)は、妻(64)と共に東京・羽田に降り立った。
(中略)
徳さんと妻の間には5男8女、合わせて13人の子供がいる。
長男は44歳、末っ子は20歳で今年成人式を迎えた。
「子供の数は最初、3~4人くらいかなと思っていたんだけど、結局13人になってしまってね。大変だったのはお母ちゃん」
夫妻が住む奄美地方は、子だくさんで知られている。
全国市町村の合計特殊出生率ランキングで1位、伊仙町の2.81を筆頭に、徳之島町や瀬戸内町など2ポイント超えが上位に名を連ねる。
4人産むのは当たり前、5~6人も珍しくない。徳さんのように13人子供を持つ家も3世帯あったという。
今でこそ笑い話になるが、子育てしていた当時は必死だった。
そもそも、最初は奄美に住むつもりはなかった。中学まで過ごした奄美・徳之島を出たのが1968年。大阪の鉄工所に住み込みで働き始めた。
そこの寮母に紹介されて72年、20歳の時に結婚。翌年以降、年子で長男、長女、次女が生まれた。
ところが長男と次女が相次い咳ぜんそくにかかってしまう。
「空気の良い場所に引っ越したほうがいい」。医者にすすめられて思い浮かんだのが、故郷の奄美だった。
(中略)
当時の奄美では夏、家の中に風邪を入れるため、玄関の戸を全開にしていた。
すると、子供たちが飛び出して勝手に向かいの近所の家に入ってしまった。
まずいと思い、すぐに連れ戻そうとしたが、とがめる者はいなかった。そのうち徳さんの家にも近所の小さな訪問客がたくさんやってくるようになる。時には遊ぶだけではなく、一緒に晩ご飯を食べた。
「何というのでしょうか。アパートのみんなで子供の面倒を見ている感じでした。」
子供がきっかけで、徐々に近所との会話が増えた。
(中略)
「今の人はかわいそうだよね。産む前から頭で色々考えてしまうから。
子供を産めば最後は何とかなるってこと、もっと教えてあげたい」。
徳さんは焼酎を書か手にしみじみと話す。
徳さん夫妻の「何とかなる子育て」は、奄美大島だからこそ、できたのかもしれない。
(後略。引用、ここまで)
「何とかなる子育て」
引用記事では省略しましたが、奄美の徳さん御夫婦は様々な苦難を乗り越えて13人の子育てを成し遂げて幸せそうな様子が紹介されていました。
普通に考えれば13人の家族を育てる収入なんて自分にはないとその時点で諦めてしまいそうですが、
徳さんの人生から子育てはお金ではないという事を教えられるのではないかと思います。
また血縁だけが家族ではなく、奄美市全体で子宝を大切にしようという共同体感覚がしっかりと構築されている様子がわかります。
きっと、こどもたちが育っていくことは、自分たちにとっても喜びだということが地域全体で実感を持って感じられているのではないかと思います。
逆に言えば都会化した都市部ではそういった感覚が得られにくいが故に、家族という形が崩壊してしまっているとも言えそうです。
人間は考える力が発達してしまったが故に、あれこれと余計なことを考えてしまいがちですが、
幸せになろうとする力に素直に従っていけば、どんな環境でもなんとかしようとする力が生み出されるのではないでしょうか。
産まれた子に対して自然に発生する親なら誰もが持つであろう大きな愛情や熱意に加え、
子宝をまるで自分のことのように喜べる共同体感覚を持つグループの助けがある状況であれば、
徳さん御夫妻のようにきっと苦難は乗り越えることができるのではないかと思います。
逆に言えば、都会で子育てが困難な理由としては、共同体感覚が得られにくい環境に根本原因があるのではないでしょうか。
今ないことを嘆くのではなく、今ある環境で立ち向かおうという発想を大事にすれば、
子育てに限らずどんな苦境にも立ち向かっていけるのかもしれません。
たがしゅう
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
> 誰かの手助けが必要な人たちを、多くの人がふわっと関わり、かつ、個人の自由や権利も守れるような社会を作りたい。
本当それが良いですね。
大きくみればそれは戦争のない平和な社会と共通構造を持っています。
難しいことかもしれませんが、一歩一歩近づけていきたいです。
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