「こどもの糖質制限」熟考
2017/09/05 00:00:01 |
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コメント:10件
先日、埼玉県川越市で開かれた精神科医奥平先生主催の糖質制限勉強会に参加して参りました。
講師は個人塾「三島塾」の塾長で、「糖質制限が子供を救う」の著者、三島学先生でした。
会場は100名以上入れる広々としたスペースでしたが、
座席が全て埋まっており、私も何とかギリギリ座れたような状況で「こどもの糖質制限」に対する関心の高さがうかがえました。中にはこどもの参加者もちらほら見られました。
私は独身でこどもはいませんし、普段の診療でこどもの患者さんを診る機会もほとんどないので、
「こどもの糖質制限」について語ってもあまり説得力がないかもしれません。
かたや塾を通じてたくさんのこどもの糖質制限に接してきた三島先生です。 患者に限らず、いわゆる病気ではないこども達が糖質制限をすることの学習的なメリットをわかりやすく説明され、
こどもの糖質制限にまつわる様々な不安を払拭させるような素晴らしい内容の講演会でした。
三島先生と言えば、最近九州のローカルテレビで特集された三島塾の糖質制限の取り組みのニュースがYou Tubeにも挙げられていて、
私も見ましたが、塾に通う生徒さん達は三島塾の糖質制限食を提供するスタイルに自分で心から納得しているようでした。
こどもの糖質制限を考えるにあたっては、大人と違って問題となるのは、
高校生くらいならまだしも、まだ判断力の未熟な小さなこどもに対しては自分の価値観を押しつけてしまうことにもなりかねないということです。
糖質制限は基本的には自分が選んで行う主体的な治療法です。無理矢理やらせてもロクなことはないということは私自身診療経験を通じて実感しています。
しかし、小さなこどもの場合は考えて行うというよりも基本的には原始感覚を基盤とした環境適応です。
親がこどもの周囲環境をどう作るかによって、本人がしたいからするというよりもそうするより仕方ないというようにこどもの行動が変わってくる可能性があります。
それが本人にとっていいことなのか、本人が判断できなければ若干洗脳的なニュアンスを帯びてくるのが悩ましいところです。
でも、私はそれでもこどもも糖質制限を行うべきと思います。
なぜなら頭で判断できなくても、こどもがもし糖質制限が嫌なら行動で示すだろうと思うのがひとつ。
もう一つはこどもの頃に過剰糖質にさらされて、
体調が悪くならずとも同時に誘導される過剰なインスリン分泌によって過剰成長してしまえば、
不必要に身長が伸びたり、顔が大きくなったり、眼軸が伸びて近視になったりして、 しかもそれらの変化が不可逆的だからです。
この弊害はこどもの時に糖質制限をしっかりしていないと防ぐことも、後でリカバーするのも難しいです。
先日はササミ負荷試験により個人差はあれどタンパク質でインスリンが分泌されることを確認しましたが、
しっかりとタンパク質を摂っていれば、その子に見合った成長がきっと成し遂げられるはず、と私は考えています。
あと三島先生はそのニュースで、「糖質制限に関する本を2000冊読んだ」ともおっしゃっていたのも印象的でした。
正直、2000冊は本当かな?と思ったりしましたが、三島先生の読書量が半端ないのは実感しています。
講演の中でも非常に様々な角度から糖質制限について語られていましたし、
三島先生が有志を集めて開催される糖質制限関連勉強会「糖質セイゲニスト in 北九州」に私は何度か参加させて頂いたことがありますが、
その時に配布された資料にも膨大な読書量に裏付けられた大変濃厚な内容が盛り込まれていました。
考えてみれば医療の非専門家が医療の知識が欠かせない糖質制限について語ろうというわけです。
どんな質問がきても答えられるようになるためにはそれだけの努力が必要だということなのかもしれません。
本を全然読まない人の中にすごい人はたまにいますが、
本をたくさん読む人はだいたいすごい人ばかりであるような印象があります。
私もたくさん本を読んで、さらに精進していきたいと思います。
たがしゅう
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プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
ほぼ5年目を迎え・・・
以前より、我が子の糖質制限に関して、
時々、先生に愚痴っておりましたが・・・
子供への糖質制限は、きっとやるべきだと信じて
うちでは食事を作ってきましたが、
時々、挫折感も味わい、今だ確立はしていません。
タイムリーな話題なので、
きちんとまとめて、改めてここにご報告いたしますね。
少々、お時間ください。
Re: ほぼ5年目を迎え・・・
コメント頂き有難うございます。
実際の子育て経験を経た人でないとわからない貴重な想いがあると思います。
もしその想いをシェアして頂けるのであれば大変有難いです。宜しくお願い致します。
No title
多くの人にとってこどもの糖質制限を始めるには、まだ情報が少なすぎて不安も多いところですが、親が効果を実感していれば、こどもにも同様の食事を与えたいと思うのは自然の流れなのではないかと思います。
やはり皆さん、情報が足りないし、外野の反対意見に堪えられずに緩くなってしまったりもあるのではないかと思います。私も保育園などで成長曲線ギリギリだからやるべきでないなどと言われると反論するのも面倒だしその度に凹んでます。
小さい子供がいると、情報発信することも難しいのですが、やはり実践者が情報を発信していく必要があるなと思います。
私もたくさん本を読んでいつか情報発信できるよう知識の蓄えも増やして行きたいです。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
やはり実践者にしか発信できない情報というものがあるはずです。
それがどれだけ小さくとも、良い情報悪い情報に関わらず、集積していけば次第に質の高い集合知が形成されていくことにつながっていくと思います。
2017年1月9日(月)
「小さな声を聞く、小さな声を上げる」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-836.html
も御参照下さい。
いいことも悪いこともあり
当時、小学校6年女子と、3年男子の子供は、1年以上過ぎてからスタンダード開始。
始めた頃は、学校給食があるので、昼の分は黙認。
週末の部活や外出で、お弁当が必要な時も、おにぎりや、サンドイッチなどの
主食をもたせていた。
最近2年間くらいは、弁当も基本的には糖質制限にしている。
<16歳女子の場合>
選手として全国大会レベルで戦うために、本格的にスーパーに移行。
伸長154㎝、体重55キロと徐々にむっちり体形に。
糖質制限を始めた当初は、大きくなれるのだろうかと心配したが、
身長に関しては、両親が大きいほうではないので、こんなものでしょう。
普段は運動部での練習があり、時々マシーンを使っての筋トレ。
冬も糖質なしでエネルギーの枯渇はない。
現在の悩みは、なぜか、体脂肪率が、28くらいと、かなり多いこと。
快眠ではあるが、前の日いくら早く寝ても、朝は眠い。
小中学校の間は、勉強は人並み、運動能力は、上の方です。
<13歳男子の場合>
もともと、おやつ大好き。
給食で、米飯をお代わりすることが多く、
先生から聞かれると、「うちでは、糖質制限だから、米食べさせてくれない」
といったニュアンスで、話をしていたらしい。
身長は150㎝(クラスで1、2番に小さい)体重42キロ、ひょろっとしている。
運動部でそれなりに活動し、体脂肪率16%くらい。
問題は、我が家の糖質制限食に反感を持っていること。
(ただ、反抗期真っ盛りで、何に対しても素直ではない。)
どれだけ、将来の体づくりのために必要だと説得しても、納得しないし、
親の我々が糖質制限していて、こんなにいいことがあると、話をしても、聞いていない。
週末の大会などで出かけるときは、おかずのみの弁当を作りますが、
もっていったお小遣いで、パンやお菓子を買って、好き勝手に食べています。
コンビニで買い食いするのは、簡単なことなので、抑制は効きません。
確かに本人の納得がない状態での、糖質制限が難しいことは明らか。
でも、たがしゅう先生のおっしゃる通り、
食生活というのは、我が家の生活基盤であり、教育方針なので、
それを否定するということは、うちの子ではありません!ということになってしまいます。
担任や、学年の先生と話をする機会があり、
時々おこる体調不良について相談すると、
「ご飯を制限するから、悪いのではないですか?」と。
開いた口がふさがらない私。
何から説明したらいいのか、煮えたぎる気持ちを抑えて、
息子の悪いところを改善させるためにも、糖質制限をしているのだということを、
話はしたけれど、どこまで通じたのかは、わかりません。
ただ、我が家は「変わったことをしているご家庭だ」と思われています。
三島塾長の本を、担任の先生にも押し付けて、読んでもらいました。
感想は、まだ聞けていません。
息子の状況がよくなってくれたら、それが証拠になると思っています。
今私が思うのは、幼児期にこの糖質制限に出会っていれば、
おやつ大好き人間には、ならなかったかもしれないということ。
ですので、ここのHPで勉強されている、小さいお子さんを持つ親御さん。
是非、今すぐ、糖質制限食を家庭で、実践して頂きたいのです。
Re: いいことも悪いこともあり
貴重な体験談をお話頂き有難うございます。
また御苦労をお察し申し上げます。
こどもで血がつながっていると言っても、非自己という意味では実の子も他者です。
アドラー心理学的には他者の課題に深入りすべきではないということが言われています。
お辛いと思いますが、お子さんが糖質を摂取することに極力干渉しないのが基本だと思います。
そして私が思うのに、それ以上に大切なことは親としてお子さんに愛情を伝え続けること、糖質を摂ってしまう事も含めてまるごと受け入れて愛する気持ちを持つということではないかと思います。
愛情を伝え続ければいつかわかってくれる日が来るかもしれないし、わかってくれなかったとしてもその結末を最終的に引き受けるのはお子さん自身です。
反抗期真っ盛りだと難しいかもしれませんが、愛情を伝えるのに適度なスキンシップは言葉や態度よりもはるかに大きな潜在能力を持っています。その辺り、最近私が読んだ本がとても参考になります。
2017年9月6日(水)の本ブログ記事
「慈愛の心を持って触れる」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-1083.html
も御参照下さい。
No title
>糖質を摂ってしまう事も含めてまるごと受け入れて愛する気持ちを持つということ
これは、ハードルが高い!
私にとっての修行のようです。
でも、真髄なのでしょうね~
子供は二人ともスポーツをしているので、
夜、ストレッチの後で、マッサージをしてやることがあります。
自分の忙しさに言い訳せず、そこで、スキンシップをすればいいのかなと、今、思いました。
アドバイス、感謝いたします。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 子供は二人ともスポーツをしているので、
> 夜、ストレッチの後で、マッサージをしてやることがあります。
> 自分の忙しさに言い訳せず、そこで、スキンシップをすればいいのかなと、今、思いました。
それはとても良い方法と思います。
紹介した本にもその方法が勧めれていました。
(『皮膚は「心」を持っていた!』p161-162より引用)
私が顧問をしている「キッズ&ジュニアスポーツコンディショニング協会」ですすめているやり方がある。
思春期の親子のスキンシップが自然にできる仕掛けとして使えると思うので、紹介しよう。
一般的に、中学生は部活で忙しい毎日を送っている。とくに運動部の生徒は、筋肉痛に悩まされることも多い。
そこで、子どもの筋肉の疲労を回復させるようなコンディショニングの仕方を教えて、きちんとしたマッサージができるように、親に子どものトレーナーになってもらおうというものである。
もちろん、ここで私が伝えたいのは、正しい筋肉の疲労回復の方法ではない。子どもの部活やスポーツの疲れを利用して、子どもに触れる提案である。
子どもが夕方疲れて帰宅したあと、お風呂上がりや夜寝る前でもいい、マッサージをしてあげるのである。
そういう触れ方であれば、「正当な理由」であるし、子どもに抵抗なく触れることができるし、子どもも抵抗を感じない。
この協会でも多くの母親が子どもに触れる効果の大きさを語っていたのは印象的だった。
マッサージで親子の会話が増えたという話はよく耳にする。
思春期の子どもには、触れるきっかけさえあれば、親子関係がいい方向に動き出すことは間違いない。
お子さんが運動部に入っていないというご家庭なら、勉強しているときや机に向かっているとき、タイミングを見計らって肩を軽くもんであげるのもいいだろう。
(引用、ここまで)
Re: いいことも悪いこともあり
13歳の男子については、特に病気など無く、肥満など無いのであれば糖質制限しないほうが良いと私は思います。
家でしっかりご飯を食べさせて、コンビニなどで甘いものを取りすぎないようにしたら良いと思います。
親が自分の信念で糖質制限するのは構いませんが、子供があるときからご飯を食べられないというのは、大変なストレスと思われます。
何しろ、学校では先生を含めほとんど全員が糖質制限などしていないのです。
その結果、反動として、コンビニなどでおにぎり、サンドイッチ、それに甘いジュースなどを大量に摂取してしまうと思うのです。
このような反動行動や親に対する反感による性格に悪く影響することの方が、糖質制限して身体に良い影響を与えるより遥かに大きいと私は思います。
食べ物の恨みは怖いのです。
このまま、男子があまり背が大きくならなかったら、それは、糖質制限したからだと親に対し反発することが予想されるのです。食を通しての思いは理屈では納得できず、どうしても感情的になります。
砂糖のたくさん入っているジュース、甘いモノなど食べ過ぎれば身体に悪いことは中学生ならばわかります。しかし、ご飯をなぜ食べてはいけないかは、本人が十分に納得してからすべきです。本人が十分に納得してないと思いますので私は、糖質制限しないほうが良いと考えています。
たがしゅうさん、たかはし@旭川さんも子供ころはふつうにご飯を食べて大きくなったのです。
Re: Re: いいことも悪いこともあり
コメント頂き有難うございます。
本人が納得していないものを無理矢理押し付けるべきではないという点に関しては同意見です。
しかしこどもの場合、そこに「本人が納得するにあたっての十分な理解力」があるのかどうかという点が悩みの種です。
ただこどもは大人が想像する以上に様々なことを理解しているとも言います。それこそ原始感覚をメインに用いているか、言葉や概念などの高次脳機能をメインに用いているかの違いだけだと考えれば、本質的には大人もこどもも対等です。
だから親子と言えども、上下関係で押さえつけず、仮に糖質を摂取する事でストレスマネジメントになるのならそれを受け入れるのも一つだと思います。一方で親としてというよりも、親しい友人的スタンスで、あなたの身を案じているという想いを伝え続け、決して無理強いしない姿勢を貫くことが大切なのかもしれないと私は思います。
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