熱性けいれんは大きな免疫調整イベントか

2022/08/04 10:25:00 | 素朴な疑問 | コメント:0件

前回のこどもの発熱の話に関連して、もう一つ追加で考えてもらいたい問題があります。

それは「熱性けいれん」というこどもの発熱に伴ってけいれんが発生する現象のことです。以前にも少しだけブログで触れたことがあります

一般的には生後6ヶ月から6歳くらいまでの脳の成熟が未発達のこどもの時期に発熱が起こると、だいたい7-11%くらいの確率でけいれんが起こると言われています。

しかし逆に言えば、90%くらいのこどもは発熱があっても必ずしもけいれんを起こすわけではないということで、発熱だけでは説明できず、正確なこの病気の発症機序はわかっていない実情があります。

そういうわからないことも多い状況でありながらも、7-11%の人では熱性けいれんのリスクがあるのだからということで、

小児の発熱に対して医師から「熱性けいれんが起こるかもしれないので、高熱が出ないように解熱剤を使うように」と指導されることも多いと聞きます。

ですが、私は必ずしもその意見には賛成しません。なぜならば発熱が原因で熱性けいれんが起こっているのではなく、免疫調整イベントの結果として発熱があり、その延長線上に熱性けいれんがあると考えているからです。 言い換えれば、「熱性けいれん」は「はしか(麻疹)」と同じようなものという言い方もできると思います。

「熱性けいれん」と「はしか」を同じようなものだと考える医者は多分あまりいないと思います。なぜならば医学的には「はしか」は「感染性疾患(=感染症)」、「熱性けいれん」は「非感染性疾患」と考えられているからです。

しかし「はしか」の好発年齢は1〜4歳程度だと考えられています。「熱性けいれん」の好発年齢と似ていると言えば似ています。

それに「はしか」は昔、一度かかったら二度とかからない病気として知られていました。実は「熱性けいれん」もたいていは1回のみで終了し、2回以上繰り返すケースは珍しいと言われています。

でも「はしか」はワクチンの導入で発症がかなり抑えられているから今でも多くの患児が発生する「熱性けいれん」とは違うと思われるかもしれません。

しかし確かに「はしか」と診断される症例は激減していますが、発熱とともに発疹が出る「はしか」のような状態を示す病気は他にもあります。例えば「突発性発疹」と呼ばれる病気です。

一般的に「突発性発疹」はヘルペスウイルス6型や7型(HHV-6, 7)による感染で発症すると考えられていますが、好発年齢が生後6ヶ月〜3歳くらいでこの点も「はしか」と似ています。

違いは発熱と発疹の出るタイミングであったり、はしかの方には「コプリック斑」と呼ばれる特徴的な白斑が出ると言われていますが、明らかな違いとは言い難く、「コプリック斑」もなかなかその存在を見抜くのが難しい所見だとも言われています。

そして興味深いことに「突発性発疹」は検査などで診断されることは稀で、多くは医師による評価のみで診断される病気だということです。

しかも検査が行われるケースで確認されるのはHHV-6に対する抗体の有無なのですが、HHV-6に対する抗体は「突発性発疹」の有無に関わらず90%以上の人が有していると言われている抗体です。

これはその見た目だけで判断される「水いぼ(伝染性軟属腫)」があって、それと同じ見た目を示しうる「天然痘」がワクチンで撲滅されていると解釈されている状況と似ています。

最近は「サル痘」という「天然痘」にそっくりな病気まで話題になり始めました本当に「天然痘」は撲滅されたのでしょうか。単に誰もその状態を「天然痘」だとラベリングしなくなっただけで、似たような状態は存在しているのではなないでしょうか。

しかも「突発性発疹」には「熱性けいれん」を起こしやすいと考えられている始末です。


ここで何が言いたいかを少しまとめましょう。

昔であれば「はしか(麻疹)」だと思われていた発熱と発疹のイベントは、今はワクチンによって抑えられたという思い込みから見た目と経過だけで「突発性発疹」だと誤認されているだけだということ、

そして「はしか」も「突発性発疹」も「熱性けいれん」も実はウイルスの関与はほとんどなくって、そこにたまたまいただけのウイルス(もしくはその状況証拠)を犯人だと誤認していただけで、本当はいずれも何らかの原因で一部のこどもに起こった免疫の乱れを整えるための緊急避難的「免疫調整イベント」のバリエーションなのではないか
ということです。

少なくともそう考えると好発年齢が似ていることや、いずれも6歳以降の年齢で起こりにくいこと、発熱があっても必ずしも皆がけいれんを起こすわけではないことなどを含めて、現実に起こっている事実をより矛盾なく説明することができます。

勿論、従来通り、「熱性けいれん」の原因はあくまでも未熟な脳組織に発熱が起こることだと考えても、現実に起こっていることをある程度は説明可能だと思います。説明可能だからこそ、この「発熱が熱性けいれんの原因」という考え方は長らく採用され続けてきたわけです。

しかしながらよくよく考えれば小さな矛盾があります。発熱があるのにけいれんを出す人とけいれんを出さない人がいるのはなぜか、HHV-6に感染しているのに「突発性発疹」を起こす人がいるのと起こさない人がいるのはなぜか、HHV-6に感染しているのに「突発性発疹」をきたす人もいれば、「うつ病」をきたす人もいるのはなぜか、などなど。

これらは「個人差」として片付けられがちですが、もしも「発熱が原因だ」と考えるのであればバリエーションはつじつまが合わないように私には思えますし、「個人差」が影響しているのだとすれば本当の原因は「個人」の中にあるようにも思えます。

そして何より「発熱が熱性けいれんという病気の原因」と考えるのと、「熱性けいれんという免疫調整イベントの結果として発熱が起こる」と考えるのでは、その後の対処行動が全くといっていいほど変わってきます

前者であれば、とにかく発熱を起こさせないために解熱剤を積極的に使用することになるし、発熱につながりうるウイルスとの接触を避けるために消毒、人との接触の回避、マスク装着やワクチン接種をしようという発想になります。

しかし後者で考えると、解熱剤を使用することは免疫調整イベントを邪魔することになります。また解熱剤で対処したつもりになっていると、なぜ免疫調整イベントを起こす必要があったのかがなおざりになり続けることにもなってしまいます。

それでもうまく免疫調整イベントが完遂できるのであればいいですが、邪魔されたことによって免疫調整イベントが不完全で終わってしまうことになれば、発熱を繰り返したり、けいれんを繰り返すなど難治の状態へと移行していく可能性があります。

この時、前者の認識のままでいると、今度はその状態を「てんかん」と認識して抗てんかん薬が使用され続けたりするわけです。そうすると抗てんかん薬の副作用も積み重なり、さらに病気は難治化・複雑化していくばかりです。

ケトン食という食事療法が難治のてんかんの抑制に有効だという事実は、そうした免疫の乱れに食事の要因がいかに深く関わっているかを伝える状況証拠でもあるように私は思います。


医学が明らかにしてきた一つひとつの事実は決して間違いではないと思います。

ただし明らかにしてきた事実に対する解釈に関しては、実は大きな過ちを繰り返し続けていたのかもしれません

それは医学が進歩しているにも関わらず、あらゆる病気が一向に減っていかないどころか増え続けていくという事実から、解釈を見直さなければならないことに気づく必要があると私は思います。

私が気づいた医学的な事実への新しい解釈の方法を、これからも丁寧に伝えていきたいと思います。

そうすればきっと世の中はもっと生きやすくなると私は信じています。


たがしゅう
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