エビデンス絶対主義だと目の前の事実が見えない

2022/06/08 17:15:00 | よくないと思うこと | コメント:2件

私の中ではコロナワクチンは完全に失敗作であることはほとんど確定項(※ものごとに「絶対」はないので僅かな可能性を残しているだけ)なのですが、

雨後の筍のごとく、有名医学雑誌からコロナワクチンの有効性を示す医学論文が次から次へと発表されてしまうので、

これらを元にして、全世界でコロナ感染が収束していない現実をよそに、相変わらずコロナワクチンを推進し続けている専門家はまだまだ少なくありません。

でもその医学論文を読まずに、「今回もどうせデタラメだ」と決めつけるのはフェアではないので、自分が読めていない医学論文の主張について私はとりあえず保留とし、

しかし現実に起こっていることを最重要事項と位置付けて、現実とあまりにも食い違う医学論文の結論は、たとえどれだけ有名な医学雑誌に掲載されていたとしても、懐疑的に向き合うようにしています。

さて、今回出会ったワクチン肯定医学論文は、超有名医学雑誌Lancetに掲載された「小児の多系統炎症性症候群(MIS-C)の発症率がコロナワクチン未接種では3400人に1人が発症しているのに対し、コロナワクチン接種した小児では9900人に1人なので、コロナワクチンはMIS-Cの予防に有効である」というデンマークからの報告です。

読む前から決めつけるのは良くないと言ったばかりですが、この結論、私に言わせればこの時点で明らかにおかしいです。 なんで私がこの結論がおかしいと思うのかを説明する前に、まず「小児多系統炎症症候群(MIS-C;multisystem inflammatory syndrome in children)」について説明しておきましょう。

大層な名前がついていますが、「原因はよくわからないけれどこどもに起こる身体中に炎症が起こっている状態」のことを「MIS-C」と総称しているというだけのことで、まず明確に病態が解明されているような類の病気ではありません。

2020年のコロナ初期の頃は「PMIS(Paediatric multisystem inflammatory syndrome)」と呼ばれていたりもしました。これまでに知られていた同様の病気としては川崎病という病気があり、コロナとの関連を疑われた時期もあったと思います。

川崎病の研究から、この病気の小児では生来的に自己、非自己を区別するための「自然免疫」の仕組みに支障があることが判明しています。その結果、一度起こった炎症を容易に抑えられなくなることから、この病気は「自己炎症性疾患」とも呼ばれていたりもします。

そのなぜだかわからないけれど炎症が起こり続ける「MIS-C」、コロナワクチン接種によってMIS-Cの発症率が下がるという医学論文の結論を私がおかしいと思うのかと言いますと、

コロナワクチン接種は人為的に炎症を起こす働きが非常に強いワクチンであるからです。

これは約17年の私の医者人生の中で出会ったワクチンの中で、最強の強さだと断言できる強さです。私の医者人生など引き合いに出さずとも、今まで解熱剤を使うことを前提で接種が勧められたワクチンなど前代未聞だったということからも明かだと思います。

そんな強力に炎症を惹起する力を持つワクチンを打つことが、なぜだかわからないけれど炎症を起こす病気の抑制に役立つなどにわかには信じられません。「毒を持って毒を制す」という言葉もあるにはありますが、その話はせいぜい少量の毒の時に当てはまる話だと思います。火に油を注いだら、普通は大火事になります。

だからこんな結論になるはずがないと思って、その医学論文を批判的な目線で読んでいくと、やはりと言うべきか、おかしな部分がいくつも見つかりました。

まずこのLancetの医学論文の研究方法について確認しますと、まず研究期間は2021年8月1日から2022年2月1日の6カ月で世間的にコロナのデルタ株が優勢だと考えられていた時期に得られたデータです。

また「前向きコホート研究」と呼ばれる方式で、2021年8月1日の研究開始時点で、「さぁこれからMIS-Cの患者が発生するかどうかを6ヵ月間、十分に観察していこう!」という姿勢でその後データを観察し解析するというものです。

これは後からデータを振り返る「後ろ向きコホート研究」に比べて、「その目で見る」という視点が加わるため、事前に「MIS-C」に関係するかもしれないと予想される項目を注意深くフォローアップすることができるので、医学論文の中ではメタアナリシス、ランダム化比較試験の次に信頼度が高いとされる「エビデンスレベル2a」の研究方式です。

ただランダム化はされていないので、今回の場合ワクチン接種者の集団の特徴とワクチン非接種者の集団の特徴が必ずしも似通っているとは限らないという点に注意が必要な研究方式です。

さて、その6カ月の間でコロナPCR検査が陽性となった0歳〜17歳までの85,947名の中で、ワクチンの接種群とワクチンの非接種群とでMIS-Cの発症率を比較したというわけです。

ちなみにMIS-Cの診断は小児感染症の専門家(コンサルタント)2名が米国疾病対策予防センター(CDC)の定めるMIS-C定義に基づいて判断したとのことです。具体的には「21歳未満で入院を必要とする重症患者であること」「少なくとも24時間以上、38℃を超える発熱またはその自覚的な報告があること」「検査で炎症の存在が証明されていること」「2つ以上の多系統で臓器が障害されていること」「PCR検査や血清検査、抗原検査で急性または以前のコロナ感染が証明されていること」「発症から4週間以内に既知のコロナ暴露があること」「他に考えうる診断がないこと」の条件が挙げられています。

以下はその研究結果をまとめた表です。



(図は論文より引用)

コロナ初期のMIS-C頻度と比較するために、表の左側半分には2020年3月〜2021年2月の後ろ向きデータも掲載されていますが、そこは本筋ではないのでとりあえずスルーしましょう。見ていただきたいのは表の右側半分です。

PCR検査等でコロナと診断された対象者は85,947名だったのですが、実際には検査で検出されていない人もいるかもしれなくて感染者数が過小評価されているかもしれないからと、ここでこの数を0-4歳で6.1倍に、5-17歳で1.5倍にするという謎の修正がかかっています。

修正の結果、2021年8月から2022年2月までの間に、コロナ陽性となった0-17歳までの小児の推定患者数は175,458名となり、そのうちMIS-Cと診断されたのは51名でした。

51名の内訳は、0-4歳が3名、5-11歳が42名、12-17歳が6名です。ほとんどが5-11歳に集中していることがわかります。

ではこの51名のうちワクチンの未接種者とワクチン接種者の内訳はどうかと言いますと、なんと51名のうちワクチンの接種者は12-17歳のうちの1人だけです。

ということは、MIS-Cの発症者のほとんどはワクチンの未接種者であり、ワクチン接種によりMIS-C発症が見事に抑えられているではないか、と思われるかもしれません。

ところがこのデータおかしいところだらけなんです。まずワクチン接種者の0-4歳、5-11歳のMIS-C発症者は0人だったわけではないのです。そもそも調査できていないのです。

それもそのはず、おそらくはデンマークでも11歳未満のこども達にはまだコロナワクチンが勧められていなかった時期なので仕方がない話ではあります。

つまり今回の論文結果は「0-17歳のコロナワクチン未接種者におけるMIS-Cの発症率(3400人に1人)と12-17歳のコロナワクチン接種者におけるMIS-Cの発症率(9900人に1人)を比較したもの」という内容になっているのです。

これはMIS-Cの発症者の大半が5-11歳に集中していることを踏まえると、極めてアンフェアな比較ではないでしょうか。一番発生率が高いであろう年代のデータがワクチン接種者の方ではそもそも検討されていないわけですから。

ならばせめて「12-17歳のコロナワクチン未接種者と12-17歳のコロナワクチン接種者との間でのMIS-C発症率の差」をみるべきではないでしょうか。

そう思って、「12-17歳のコロナワクチン未接種者でのMIS-C発症率」はどうなっているのかと見ますと、同じ表に「4300人に1人」と書かれています。

先ほどの「3400人に1人」よりは確率は下がったものの、それでもワクチン接種者でMIS-C発症率「9900人に1人」よりは高い確率ということになります。

ところが、そもそもワクチン接種者では1人しかMIS-Cを発症していないのに、確率で比較していいのかという問題が一つありますのと、もう一つ重大な問題としてワクチン接種者の表のところにこんな注釈が小さく書かれています。

「(ここでいうワクチン接種者とは)2回目のワクチン接種から14日以上経過した後にコロナ(SARS-CoV-2)感染した者と定義される」と。

つまりワクチンを打った後にMIS-Cになったとしても、それが接種から14日以内に発症したものであれば「ワクチン接種者に発症したMIS-C」とはカウントされないということです。

ワクチンは接種後14日以上経過しないと効果がないとする従来医学の常識的な価値観がこのルールを作っているわけですが、

これだとワクチン接種後14日以内にMIS-Cを発症した人は、ワクチン未接種者でMIS-Cを発症した人としてカウントされている可能性が濃厚になります。MIS-Cの診断は極めて厳格に行なっているわけですし、そもそも例数が極めて少ないので捨てデータにする余裕もありません。接種者としてカウントされないならば未接種者としてカウントされていると考えるのが妥当です。

そもそもコロナワクチンがもたらす強い炎症は、コロナワクチン接種後副反応の経験からほとんどが1週間以内に(時に1週間以上経過してからも続くものあり)起こることがわかっています。

言わばコロナワクチン接種後、最もMIS-Cを発症させうる時期のデータは「ワクチン接種者」のデータとしてカウントされないどころか、逆に「ワクチン未接種者」のデータとしてカウントされている疑いが濃厚となると、これは随分話が違ってくるのではないでしょうか。

それを検証しようにも、ワクチン未接種者でMIS-Cを発症した6名が本当にワクチンを打たれていないのかどうかを確認しようにもこの論文のどこにもそんな情報は書かれていません。

これは本当に問題だと思います。これではコロナワクチン接種でMIS-Cリスクが上がるかもしれない疑念は残ったままです。

こんな調子で疑問が残るまま、その疑問に答えられないままに「コロナワクチンは有効だ」という解釈が一人歩きし続けて、世界中の人に事実重視型で考えれば効果がなく有害としか思えないワクチンが推進され続けてしまっているわけですから。

このワクチン接種後14日以内のトラブルはワクチン接種によるトラブルとカウントしない」という慣例ルールは、さまざまなコロナワクチン肯定論文で認められる結論の裏にあるトリックとして非常に大きなものなので、知っておいて損はないように思います。


こんな感じで事実に即さない医学論文が出され続けてしまうことに、

打ちのめされそうな気持ちになることもしばしばです。

けれど私は、たとえ小さな声だとしても、反論の声を上げ続けたいと思います。

そもそも事実を見つめつつ、ちょっとした想像力があれば、

今回の論文の結論だって、少なくともそのまま鵜呑みにするような内容ではないはずです。

「マスクの装着が熱中症を増やすかどうかのエビデンスがない」という専門家がいますが、

そんなことはエビデンスがなくても、炎天下でマスクを装着した時の苦しさをちょっと想像すれば容易にわかることでしょう。

エビデンス絶対主義で事実を見失っているような主張には真っ向から反論し続けます。


たがしゅう
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コメント

2022/06/08(水) 18:59:11 | URL | neko #-
14日以内の話は私も以前見たことがあります。その前提が伏せられたまま結論だけ一人歩きする怖さ。ある意味「恣意的」「捏造」「嘘」と言われても仕方ないですよね。
日本でも先日、厚生省が未摂取者を不明カウントしていたのが問題になりましたね。ミスなのかわざとなのか分かりませんが。。。効果が(間違えたデータにより)高いと信じて3回目を討った人も多いはず。3回摂取が6割とは驚きです。

「火に油を注いだら、普通は大火事に」「炎天下でマスク」、なんだか、人々が普通の感覚を失いつつあるようで気持ち悪いですね。

Re: タイトルなし

2022/06/08(水) 21:55:42 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
neko さん

 コメント頂き有難うございます。

 本当に信じられないくらい医学の世界(医学論文)が冷静さを失ってしまっているように感じます。
 それなので人々がそれに振り回されるのも無理もありません。それくらい医学や科学が人々から支持を得ていたという傍証でもあるかもしれませんが、間違っているものは間違っていると認めて、再出発する必要がると思います。そうでなければ歪みは進むばかりです。

 正直崩壊する所まで行き着く可能性も十分考えられますが、そんな結末にならないよう悔いのないよう私のできることを諦めずに続けていこうと思います。

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