コロナがかつてなく多領域の病気にまたがる理由
2021/10/28 14:20:00 |
ウイルス再考 |
コメント:4件
第五波が収束した理由を専門家と呼ばれる人達はまだ誰も納得のできる説を述べられていないように思います。
そういう時は常識そのものを疑った方がいいというのが、ひとつのパターンです。私は当ブログで感染症にまつわって発生する事象を従来常識とされている「病原体病因説」ではなく、「宿主病因論」という新たな認識で捉え直す必要性を訴え続けています。
つまりウイルス感染症はウイルスによってもたらされるのではなく、ウイルスをどのように認識するかという宿主側の問題によってもたらされるという考えに移行すべきという主張です。
「宿主病因論」の立場で考えれば、季節変動によって宿主集団の中で体調を崩す(ウイルス感染症状態に陥る)人達が気候が最も高くなる時期をピークに正規分布様の波を呈すると考えれば、第五波収束の理由は説明可能ですし、同時に変異株とかは全く関係ないということになります。
同時に正規分布様の感染者数の波を呈する国ほど秩序は維持されていて、正規分布性が崩れている国ほど何らかの理由で著しい人為が加えられている状況だという風に解釈することができます。
さて今回はこれまでにも述べたその話を繰り返したいのではなく、「宿主病因論」で捉え直すべきと私が考える根拠をひとつ増やしたいと思います。 ご承知のように、この2年弱は医学界の話題が全てコロナ(「COVID-19」と名付けられた状態)にかっさらわれたと言っても過言ではない状況でした。
最初は「原因不明の重症肺炎」という入り口であったこの状態も、情報が集まっていくにつれて、様々な問題があることがわかってきました。
やれ味覚・嗅覚障害が目立つだの、血栓症を引き起こすかもしれないだの、こどもでは川崎病に似た状態を引き起こすかもしれないだの、最近では心筋炎の話題がホットでしょうか。
それに伴って各種医学雑誌はこぞってコロナの話題を特集として取り上げるようになりました。糖尿病の医学雑誌も、心臓病の医学雑誌も、肝臓も腎臓も様々な領域にコロナの話題が広がっていきます。耳鼻咽喉科や皮膚科などマイナー科と呼ばれる領域の医学雑誌までコロナについて特集を組んでいるような状況です。
私が専門とする脳神経内科の医学雑誌にも、最近コロナ特集が組まれていましたが、その見出しにはずらっと次のようなタイトルが並びます。
・COVID-19と凝固異常,脳卒中
・COVID-19と脳炎・脳症
・COVID-19における嗅覚障害・味覚障害
・COVID-19と中枢神経系脱髄疾患
・COVID-19と末梢神経障害
・COVID-19と神経筋接合部疾患
・COVID-19と筋障害
ほとんど全ての脳神経内科関連の病気にコロナが関わっていると言わんばかりのラインナップです。
今まではどんなウイルス感染症も、ここまで多領域に渡る病気の病態に関わっているということはありませんでした。
類似のウイルス感染症であるインフルエンザでさえ、せいぜい脳炎・脳症を引き起こすというところくらいです。肝臓病や腎臓病、膠原病、各種神経障害などと密接に関わっているということはありませんでした。
それなのにこのコロナという奴は、今までの医学の常識を覆すほど全領域横断的に広く関わりを持っているという稀有なウイルス感染症です。2019年にたまたまそれほどまでに稀有なウイルスが誕生したということなのでしょうか。
この違和感も「宿主病因論」の立場に立ってに返せば見える景色が変わってきます。
コロナは、これまでの人類史上ではありえないくらいに全世界的に調査が行われたウイルス感染症と言ってよいでしょう。その調査方法には問題があったにせよ、これほどまでに世界中の人達に調査が行われたウイルス感染症はいまだかつてなかったということに誰も異論はないはずです。
コロナというウイルス感染症の全領域横断的な多様性は、そうした全世界的に行われた調査規模を反映した結果だという見方はできないでしょうか。「宿主病因論」の視点に立てばそういう見方ができますし、そう考えるとコロナのかつてない多様性も必然ということになります。
つまり「コロナ感染」と呼ばれる「非自己」抗原の認識に伴う異物除去反応システムのオーバーヒートの起こり方には宿主の個性に応じて様々なバリエーションが存在するということであり、
限りなくたくさんの人達に調査を行った結果、今までは見えてこなかったオーバーヒートのパターンが見えてきたというだけなのだと私は見ています。
決して「コロナウイルス」という特定の病原体によって引き起こされた状態ではないということです。
だからもし、インフルエンザも無症状者あるいは症状の子細を問わず”発熱患者”と名がつく相手に対して全員に、PCR検査を無差別かつ大規模に行ったとすれば、
今のコロナと同様のバリエーションがインフルエンザにも見えてくるのではないかと想定されます。
仮にインフルエンザウイルスという「非自己」抗原の認識によって「血栓症」や「川崎病様の多系統炎症」が引き起こされていたとしても、
今までであればそれが「脳梗塞」や「川崎病」と認識されていただけの話で、調査方法の変化によって全く別の「名札」がつくようになっただけの話だと私は思います。
実は世界は何も変わっていないのに、私たちの世界の見方は明らかに変わってしまっています。
「宿主病因論」で世の中を眺め直してみましょう。
そうすれば本当に私たちがすべきことが見えてくるはずです。
たがしゅう
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プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
インディープ
是非ともこの人のブログに見に行って下さい。
多くの人はここまで忙しいので調べるのは大変だと思うのです。
大体は裏付けの論文は貼り付けてあります。
Re: インディープ
情報を頂き有難うございます。
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Re: 前腕の痛み
コメント頂き有難うございます。
何が原因であろうとも、その症状がもたらす意味を考えることでその後の対処方針が見えてくることがあると思います。
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